国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2022-03-15 14:45

非道な力の信奉者にどう対抗するか

角田 英明 鐘紡株式会社元社員、日本国際政治学会会員
 プーチン大統領は、独善的で歪んだ歴史観に基づく野望を抱く、迷妄に取り憑かれた極悪非道な力の信奉者に成り果ててしまった。プーチンには、もはや外交、国際政治における合理的思考が通用しないことは言うまでもなく、また仮にプーチンの違法行為につき国際司法裁判所、国際刑事裁判所の判決を得られたにしても、中国同様に歯牙にもかけないことは火を見るより明らかである。力の信奉者に通用するのは金融及び経済面における徹底的な制裁と完全な軍事的敗退という力の行使だけである。
 
 だた、このような方法では、プーチンの意志を挫くのに時間を要する。故に、極悪非道の”ならず者”を制するには、ならず者の手法、すなわち、ある種の良識、常識を越えた措置、つまり、テロリズムの応報として米国に報復されたビン・ラディンの例の比ではない措置が必要だ、という発想は恐らくそれが可能な能力を持つ国などでは実際に検討されているに違いない。プーチンに対してはそれなりの措置が国際正義及び人道上許容されるのではないか。当のプーチンもその可能性を考慮しているのであろう。暗殺を恐れ、側近に対しても警戒を怠らないという。なんの咎のないウクライナ国民多数が日々死傷する大惨事を目の当たりにしながら、国際社会が成果に時間がかかる制裁と武器及び物資の援助のみで対応する様は、このような事態に本来機能すべき国連が無力であるという現実を我々に突きつけるとともに、心ある世界中の全て人々を悲嘆の境地に陥らせている。
 
 それにしても、残念なことはバイデン大統領の「米国はウクライナへ派兵しない」との昨年来の発言である。それがプーチンの最大懸念事項である米国の軍事介入の懸念を除去し、侵攻の決断の大きな契機となったことは明白だ。その「同盟関係にない」という主張は逐一挙げるまでもなく、これまで何度も同盟関係のない国の紛争に米国が派兵してきた過去を振り返れば理由になっていないといえる。ロシアとの大戦争を忌避したいというのが本音であろうが、これは正にプーチン大統領を賭けに勝たせたということである。
 
 要するに、現時点では正直者の常識人で無策のバイデン大統領は「ブラフ」もできずプーチンに手玉にとられているようにしか見えない。その結果、無辜のウクライナの人々がとんでもない惨事に直面させられているのは、誠に同情すべき状況である。これは、他人事ではない。我が国も物資援助にとどまらず、三木、福田政権の例に習い「人命は地球より尊い」とし、「超法規的措置」を決断し、武器援助をも実行し、ウクライナに軍事的に協力すべきではないか。友好国は日本のそのような行動をしっかりと観察し評価するであろう。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム