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2021-11-10 16:53

(連載1)崖っぷちに立つ日本のDX

山崎 正晴 危機管理コンサルタント
 9月22日、金融庁は、システム障害が相次いだ「みずほ銀行」とその親会社である「みずほフィナンシャルグループ」に対し、「金融庁によるシステムの直接管理」という異例の業務改善命令を出した。みずほ銀では、今年2月と3月に4回のシステム障害が発生し、6月に再発防止策を公表したが、8月と9月にも3回の障害が発生している。同行は2002年に第一勧業・富士・日本興業の3行が合併して誕生したが、3行のシステム統合が難航し、その影響が合併から19年を経た現在にまで尾を引いている。
 みずほ銀に見られるように、日本企業の独自仕様のITシステムは改修を重ねて複雑になったために全貌を知る人材が乏しく「ブラックボックス」化しつつある。経済産業省は、老朽化によるハードの故障、性能や容量の不足、ソフトの不具合、セキュリティーの穴などに起因する経済損失が今後急増し、25年に最大で年12兆円に上る可能性があると警鐘を鳴らしている。
 しかし、企業の危機意識は薄く、同省などの調査によると、コロナ下の20年時点でさえ、9割以上の企業はDX(デジタル・トランスフォーメーション、筆者注=効率向上のためのIT技術を駆使した諸改革)に未着手か、一部の部門でしか実施していない。9月29日、スイスのローザンヌに本部を置くIMD(国際経営開発研究所)は21年の「世界デジタル競争力ランキング」を発表した。これは、国のデジタル経済とデジタル技術の能力を評価するもので、主要64カ国・地域が対象だ。順位を見ると、米国が4年連続でトップ。以下、②香港③スウェーデン④デンマーク⑤シンガポール⑥スイス⑦オランダ⑧台湾⑨ノルウェー⑩アラブ首長国連邦(UAE)―と続き、18年には30位だった中国が今回15位に躍進、わが日本は17年27位、今回28位と低迷したままだ。
 28位という総合順位の構成要素である「サブ因子」を見ると、顧客や従業員の声を聞き、データに基づいて意思決定し、迅速に実行する「ビジネスの俊敏性」は53位、「人材」は47位、「規制の枠組み」は48位で、海外からの高度人材を取り込むこともできていない。唯一の救いは「科学的集積」の13位だが、同じサブ因子での韓国の順位は3位と、日本をはるかに上回っている。(つづく)
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