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2021-09-21 20:08

菅総理が上げた成果

赤峰 和彦 自営業
 菅総理の退任発表以来、メディアはこぞって政府のコロナ対策やオリ・パラ開催の批判の鳴りを潜めました。菅総理を批判し続けるための政治利用を果たしたからでしょう。菅総理はメディア改革に意欲が強く、それを恐れていたメディアの攻勢は激しいものがありました。現在、国が管理している放送や携帯電話の電波(周波数)は、申請してきた放送事業者や携帯電話会社に割り当てられています。しかし、政府はいま、電波を彼らに寡占させるのではなく「電波オークション」にかけて門戸を広げたいという考えに至っています。自由競争こそが偏向報道や硬直化した業界構造全体を是正させる近道だからです。これに対して政治力の強い新聞社と系列のテレビ局が頑なに反対し続けています。オークションともなれば放送事業への新規参入が比較的容易になり、既存のテレビ局にとっては既得権益に切り込まれる形になります。このためメディアはあらゆる手段を講じて菅総理を追い詰めようとしていました。裏返せば、菅総理の目を見張る仕事ぶりにメディアが危機感を持ち、菅総理つぶしに全力をあげたということだ筆者は考えています。実際、菅総理の実行力は大したものです。
 
 まず、特筆すべきは、菅総理はスタート直後から日本学術会議の人事で大ナタを振るったことです。さらに本年6月には、数年間棚上げされてきた国民投票法の改正案を成立させ、憲法改正に道筋を作りました。これは戦後日本の憲政を思想的に硬直化させてきた左翼の運動に決定的なダメージを与える歴史的な快挙であることを忘れてはなりません。また、外交的には、とかく中国にぶれがちな米国のバイデン大統領をクアッド(日米豪印戦略対話)の中心に据えさせ日本の安全保障体制を強固にしました。さらに、G7では「台湾海峡」の文言を盛り込むことで西側諸国のスタンスを中国に印象づけました。軍事的野心の暴発を防ぐ抑止力の意味を理解している人だからできたことです。
 
 このほか、高いワクチン接種率の達成、携帯電話料金の値下げ、世界トップ研究大学の実現に向け10兆円規模のファンド創設、不妊治療に保険適用、一定の所得がある後期高齢者の医療費窓口負担2割引き上げ、「黒い雨」健康被害者を救済、「種苗法」を改正、「『従軍慰安婦』という用語は誤解を招く恐れがある」とする政府答弁書を決定、原発処理水の海洋放出を決定、デジタル庁創設、台湾、東南アジア諸国へのワクチン提供、東京五輪、パラリンピック開催など、人気取りには向かない政策を含め菅総理は歴代の総理大臣ができなかったことを次々と実施しました。また、自民党内においても、二階幹事長切りを実行しました。これは党内に大きな風穴を開けたことになります。さらに自ら身を引いたことで総裁選の立候補者4人か出ることになりましたが、これが結果的に、総裁選で力を強めるはずの派閥の存在価値を大きく損ねました。思わぬ効果を上げたとも言えます。
 
 
 一般に、改革派は既得権益を守ろうとする勢力から激しく抵抗され、糾弾されるのが常です。菅総理もその一人でした。しかも、菅総理は無派閥かつ利権を排除していましたので党内の人的支援が少なく、その上、女房役の加藤官房長官が不作為であったために政治運営には非常に苦労しました。しかし、その改革の精神と実行力は後世からは必ず評価される時が来ると思います。しばらくは疲れた心と体を休めていただき、次の飛躍の時までエナルギーを蓄えていただきたいと強く願っています。
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