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2021-05-20 10:21

同一労働同一賃金と外国人労働者

古閑 比斗志 医師
 我が国は戦後一貫して人口増加の一途をたどっていたが少子高齢化が進行し2005年の1億2800万人をピークに人口減少局面にある。2020年の出生数約85万人。15歳から64歳の生産年齢人口は1997年を境に減少傾向が継続しているため、不足する国内労働人口を補う為に製造業ではロボットの導入や海外へのアウトソーシングが進んでいる。しかし、それでもなお需要に供給が追い付いていない状況であり、政府は外国人労働者を増加させている。外国人労働者は2018年10月には技能実習生約31万人その他合計146万人である。
 
 法務省によれば昭和42年から令和2年までに約53万人が日本へ帰化している。毎年およそ1万人が帰化している計算となる。令和2年の帰化総数は約9000人である。韓国・朝鮮からの帰化はおよそ4100人、中国はおよそ2900人である。さらにブラジル、ベトナム、フィリピン、ペルー、バングラディシュ、ネパール、インド、スリランカと続いている。日本にいる日系人は推定30万人を超えている。ちなみに海外日系人協会によれば、ブラジルの日系人は190万人、アメリカの日系人は147万人と推定されている。また海外在留邦人は約100万人である。
 
 2020年4月より労働者派遣法が改正された。不合理な待遇の禁止である。パート非正規雇用者も正社員もすべての労働者は同一労働同一賃金となる。厚生労働省の同一労働同一賃金ガイドラインによれば基本給、昇給、賞与、各種手当、ボーナスや教育訓練、福利厚生、有給休暇、病気休職、安全管理に関する措置・給付も同様となる。非正規雇用者の賃金を上げる必要があり、この法改正の趣旨は重要である。ここで大切な事は我が国においてすべての人は平等であり男女差別、人種差別、LGBTに関係なく労働者として等しく合理的に対応する必要があるということである。海外からの安易な労働力として技能実習生制度が利用されているが、彼らが受けているのは非常に不合理な待遇であるし、新型コロナウイルス感染症の流行で現在技能実習生制度の運用が難しい状況であることを踏まえれば、現行の技能実習制度も労働基準法に基づき待遇を改める必要がある。労働力が必要であれば、それなりにきちんとした環境整備が必要である。すべての人が幸せに暮らせる国にしなければならない。貧富の差が大きくなったのはソ連崩壊後であるが、かつて会社は公器であるといわれた一億総中流時代の企業精神も、技能実習制度を不適切に利用する経営者には存ぜぬことなのだろうか。共産主義と資本主義のバランスが崩れた結果、日本は変質したのである。
 
 医療体制はかろうじて国民皆保険を維持しているが風前の灯火である。米国では新型コロナウイルス感染症の為さらに一部の資本家に富が集中した。二千人の富が残りの数億の人々と天秤が釣り合うのはあまりに馬鹿げている。北欧は資本主義ながら国民の幸福を実現する事に成功しているのではなかろうか。スウェーデンのように好きな時に仕事を辞めて大学に戻り勉強しても暮らせていける社会は理想である。私も仕事を辞めて勉強して未来の社会に貢献したいと考えているが、多くの労働者にとってそれは夢のまた夢であることを考えれば、我が国も日本国憲法の理想を実現するよう是非見習って欲しい。競争社会に終止符を打ち能力に関係なく平等に差別なく暮らせる世の中にするために。
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