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2007-09-14 13:09

ポスト安倍の緊急課題は解散総選挙だ

吉田康彦  大阪経済法科大学客員教授
 12日の安倍首相の辞任表明はまさに唐突で説得力を欠くものだったが、真相は健康問題にあったようだ。首相は慢性胃腸障害という持病をかかえており、過去2週間おかゆと点滴だけで過ごし、その間体重が5キロも減ったというのだから尋常ではない。それならそれで、首相臨時代理をおいてしばらく治療に専念するとか、病状を公表して辞任した方が国民の理解と支持が得られただろう。1957年、脳梗塞の後遺症で、安倍氏の祖父・岸信介に政権を譲った石橋湛山は、いさぎよい決断として辞任が好意的に受け止められ、辞任後も日中友好親善に影響力を発揮した。

 自民党は現在、新総裁選出をめぐって熾烈な駆け引きを繰り広げ、福田康夫氏が有力視されているが、誰が選ばれても、後継首相が最初に手がけるべきことは衆議院を解散し、総選挙によって民意を問うことだ。

 衆参両院のねじれ現象は民主主義国で珍しいことではない。現在スペインがそうだし、大統領制の国では、大統領と議会の党派的対立は日常茶飯事だ。米国では大統領が共和党なら議会は民主党が多数派、あるいはその逆というのがむしろ慣行となってきた。フランスでもミッテラン大統領時代とシラク大統領の1期目に、議会の多数派から選ばれる首相との間に党派の対立が生じ、これを「コーアビタシオン」(co-habitation)と呼んでいた。「同棲」を意味するフランス語だ。

 その点、日本では55年体制とされる自民党支配が長く続き、93年に細川・非自民連立内閣が出現したが、8カ月の短命に終わり、その後は自民党主導の連立内閣が政権の座にしがみついている格好だ。2年前の“郵政”解散では自民党が圧勝したが、これは小泉純一郎個人の人気に負うところが大きかった。その後、2代にわたって首相が代わるということであれば、直近の参議院選挙で自民党が大敗した以上、政権選択が直接の争点となる衆議院選挙で、改めて民意を問うのは当然のことである。

 テロ特措法延長の是非を決めるのも民意であるべきだ。海自の給油が一時期中断したからといって、テロリストが急に勢いを増すわけではない。
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