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2020-12-15 19:15

(連載1)Google AIが示唆する感染動向の受け止め方

篠田 英朗 東京外国語大学大学院教授
 新型コロナの新規陽性者数が、ほぼ横ばいの状態が続いている。あるいは一進一退といってもいいだろう。増加圧力を押し戻す鈍化の傾向が11月半ばからは続いていることを私は観察してきたが、新規陽性者数の減少にまでも持ってくることができない足踏みのような状態が続いている。高止まりと言ってもいい状態でもあるわけなので、ほんの数パーセントの増加でも「過去最高」の数になったりするのがニュースになっている。実際には、一進一退である。
 
 この状態で苦闘しているのが、Google AI予測だ。11月17日にデビューしたGoogle AI予測には、毎日修正が入っている。どういうわけか、いつも二日前のところを現在値にして予測の修正がなされるので、報道と照らし合わせると、直近二日間の予測が、「どう外れたか」がすぐに分かる仕組みになっている。毎日の予測がぴったりとあたることはほとんどないので、厳しく言えば、常に外れ続けているわけである。むしろ大きなトレンドの予測だけを見せるために、週に一度程度くらいの頻度でだけ、修正を加えたらいいのではないかという気もするが、そうはなっていない。そこで毎日の更新の中で、面白い現象も起こった。
 
 予測は、11月17日に、図のような曲線を描いて、28日間で死者555人、新規陽性者51,605という数字で始まった。11月17日~12月9日の23日間の死者数は552人なので、当初の予測は過小気味であったかもしれないが、だいたいの大きなトレンドは捉えていたのかもしれない(現在の一日当たり死者数は7日間平均で35人程度)。11月17日~12月9日の23日間の新規陽性者数は47,769人である。これについても当初の予測は過小気味であったかもしれないが、ほぼ大きなトレンドを捉えたものであったのかもしれない(現在の一日当たり新規陽性者数は7日間平均で2,300人程度)。
 
 ところが、実際の死者数と新規陽性者数の増加は、28日間の数字の近似にもかからわず、Google AIが予測した曲線にそって進んだわけではなかった。そのため日々の修正の中で、Google AIは何度か大幅な予測変更を行っている。私がそのことに目を止めたのは、12月4日だ。その日の予測は際立っており、かなり変則的であった。死者数は減少し始めると予測しているのに、新規陽性者数は大幅に上昇し続け、年末には一日1万7千人、日によっては2万人を超える日もあると予想したのだった。さらに目を見張ったのは、大阪の甚大な被害の予測であった。(つづく)
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