国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2020-05-15 21:21

(連載1)緊急事態条項の憲法議論を進めよ

松川 るい 参議院議員
 憲法記念日を外出自粛の中迎えることとなるとは誰も思いもしなかったことでしょう。緊急事態が生活に直接的に影響を及ぼす経験をした国民は現行憲法施行以降は存在しないという幸運を我々は享受してきました。しかし、「緊急事態」が存在するということ、そして、平時の発想で物事に当たると、大変な迷惑を被ることを我々は身をもって体験しています。
 
 「雇用調整助成金、悠長な審査やられては困ります」、「アビガン、完璧に安全確認できてなくても死にたくないので早く使わせてくれませんか」、「移動の自由というけれど、できれば来ないでください」、「休業してくれないパチンコ店、危険なので閉めるように是非罰則を設けて下さい」などなど、実際に、普通の方々から聞くお声です。日本の社会制度や法律は、ほぼ全ての人が善人であることと平時であることを前提にしています。それは方向としては美しいと思いますが、世の中にはそうではない方もいれば、有事もあります。国はそのような事態を含めて国民を守る備えをする義務があると考えます。この備えがないことは日本の内なる脆弱性です。
 
 だから、世界の殆どの国の憲法で緊急事態条項が設けられているのです。別に、中国やロシアのような強権的な国だけにあるわけではありません。むしろ、民主主義国(特に大陸法系の国)こそ、緊急事態においては、個別の私権を制限してでも守らなけれがならないより大きな利益がある、という現実を直視しています。
 
 というのも、そのような規定を置いておかない方が、却って緊急時に国家権力による私権の制限に歯止めがかからない可能性があるからです。多くの国の憲法において、緊急事態において、行政権への権力の集中や必要に応じての私権制限を認めると同時に、事後の国会報告や検証など、一定の歯止めも設けられています。(つづく)
 
 
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム