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2020-03-03 18:16

(連載1)日本の「レピュテーション・コスト」を考えよ

松川 るい 参議院議員
 新型コロナウィルスについて、私は、医療の専門家ではないので、医学的見地からの新型コロナウィルス対策は専門家に譲る。私が訴えたいのは、レピュテーション・コスト(評判が地に落ちることによるコスト)である。今、我々は新型コロナ対策に対する世界からの評価が極めて厳しい状況にあると自覚する必要がある。実際はどうあれ、「日本政府の対応は後手で緩く、きちんと事態の統制ができていない」と世界に認識されている。日本の「評判」(reputation)が落ちているのだ。その結果、日本自体が中国同様、世界からの拒否対象国となりつつある。
 
 中国全土を入国拒否対象にしていないこともあるが、何と言っても一番の原因は、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の感染拡大だ。今や、欧州では日本人は中国人同様警戒対象だ。日本開催の会議やイベントは海外からキャンセル。観光客も激減している。日本を入国拒否対象にする国もある。英国船籍で米国企業が運営しているクルーズ船の感染拡大の責任を全部日本が背負い込んでしまっている。もともと日本に寄港する前に感染は始まっていたわけであり、日本が全部の結果を負うような恰好になっているのは不本意だ。
 
 本来なら、寄港拒否しても良かったはずだが、日本人が多いから受け入れた。その判断をした時点では、船内での隔離が可能だという前提でそのような判断をしたものだと思うので仕方ないとも思う。しかし、外国人については、最初から、外国人の国籍国が早く迎えにきてくれということを日本政府から呼びかけるべきであった。何も、ただの寄港地である日本が外国人の健康についてまで責任を負う必要はない。私はその点主張していたが、結局、米国はじめ各国は、今や、危険な船から自国民を救助にいくといった格好になってしまい、関係者がこれだけ献身的な努力をしているにも関わらず、日本政府のハンドリングがいかにもお粗末であったかのような印象を与えてしまっている。本当に残念だ。
 
 船内での隔離が相当困難であることが判明したあとに後付けで批判するのは簡単なことであり、その時その時は一生懸命諸般の事情を総合的に判断して行動を決断したと思う。が、宣伝戦が一貫して下手すぎるというか、そもそもそのような意識が欠如していたように思う。クルーズ船に対しても、国内においても然るべき措置を取っていることについて、英語で発信するべきだ。たとえば、日本寄港以降に感染拡大したわけでなく、もともと日本寄港前に感染していた方々が発症しているのであり、日本の隔離により拡大は抑えられていると示せる証拠があるなら、それは日本語だけでなく英語でも発信するべきだ。ただ、紙を巻くだけでなく、英語で「専門家が」会見を行うべきだ(通訳を使えばいい。)。(つづく)
 
 
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