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2007-08-13 09:21

終戦記念日に思う

大藏雄之助  評論家
 62回目の夏がやってきた。あの年の8月も暑かったが、今年はとりわけ酷熱の毎日である。「敗戦を終戦と言いつくろっておいて、何が記念日だ」と吐き捨てる人もいる。もっとも、正確には、1945年8月15日(あるいは14日)は停戦の日であって、大日本帝国が敗戦を正式に認めたのは、9月2日の降伏調印式であり、大多数の「敵国」との間に法的に戦争が終了したのはずっと後の、1951年9月8日の講和条約調印、または翌年4月28日の同条約発効の日ということになるだろう。旧ソ連の継承国であるロシアとの間では、北方領土の問題があって、いまだに最終的な決着がついていない。

 歴史的な詔勅を聞いた日、私は中学生だった。泣きたいほど悲しかったのに、その夜、何年かぶりで灯火管制が解けて、焼け跡の家の窓から明かりがこぼれ出たのを目にした時には、矛盾したことに、本当にほっとした。もちろんそれからあとも、形を変えた苦難や屈辱が続くのだが、それは別の話である。戦後生まれが日本国民の過半数となった現在、「大東亜戦争」の記憶が風化するのは当然だろう。あの戦争はすべて究明されたとは言えないのに、原子爆弾投下の日の記念行事のほかは、テレビの特別番組も少なくなった。

 意外に頑張っているのが、小プロダクションの映画である。私は『ヒロシマ・ナガサキ』、『特攻』、『陸に上がった軍艦』の3本を続けて見た。前の2つは日系アメリカ人の作品で、長い時間をかけて製作されている。どちらも、当事者の語り以外に特別な解説を入れていないのがよかった。『特攻』では、カミカゼの攻撃で撃沈された軍艦の生き残りの老齢のアメリカ兵たちが「あのような状態に追い込まれたら、俺たちだって決死隊に入る」と言っていたのが印象的だった。

 第3次世界大戦はないかもしれないが、いたるところでテロ事件が発生するようなら、平和の恩恵は遠い。
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