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2019-12-22 09:45

(連載1)財政評価の新指標を提案する

萩原 孝夫 無職(年金生活者)
 2020年度(令和二年度)の政府予算案が12月20日に閣議決定された。新聞各紙では、財政規律の観点から憂慮する論調がほとんどだ。たとえば、読売新聞は「政府は、新規国債の発行額の減少を財政再建の成果と強調するが、減額は1043億円にとどまる」、「歳入に占める借金の割合は引き続き3割を超える」と訴える。経済同友会も同様に「消費税率引き上げの効果もあり、一般会計税収は63.5兆円に達したが、プライマリーバランスの赤字幅は拡大した。また、新規国債発行額は減少したものの、外国為替資金特別会計等からの繰入額が増加しており、財政法等による規律が機能しているとは言えない」と指摘している。

 その一方で、「社会保障費だけで35兆円もかかる。32兆円の国債をうんぬんする人にどんな処方箋で予算を作るのかとお尋ねしたい」(鈴木宗男・参議院議員)という声があるのもたしかだ。筆者は鈴木宗男氏の指摘に共感するものだが、ここでは論点を変えて、財政規律を計る物差しについて考えたい。

 財政規律の物差しは、年度毎のフローを計るものとしては、①新規国債の発行額 ②歳入に占める借金の割合、そして③プライマリーバランスの三つとされる。来年度予算案は、①では財政規律は進んでいると見えるが(それでも「減額は1043億円にとどまる」とちゃちゃが入るが)、②と③では遅れていると見える。これをもって、財政規律の緩みが問題だ、と危機感を煽るのが定番だ。しかし筆者としては「それって思考停止に陥っちゃいませんか。この三つの物差しで実態が掴まえられていますか」と言いたい。

 筆者が注目するのは、「一般歳出に対する税収のバランス」だ。プライマリー・バランス(基礎的財政収支)が、「税収・税外収入と、国債費(国債の元本返済や利子の支払いにあてられる費用)を除く歳出との収支のことを表し、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等でどれだけまかなえているかを示す指標」(財務省HP)とあるのに対し、「一般歳出に対する税収のバランス」は、税収・税外収入から税外収入をのぞき税収のみとし、歳出から国債費・地方交付税交付金を除き一般歳出のみとするものだ。(つづく)
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