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2019-10-21 21:04

日本政府は中朝への認識が甘い

荒木 和博 拓殖大学教授
 北朝鮮並みに個人崇拝に進んでいるかに見える中国の政治環境にあって、習近平氏からすれば江沢民氏など独裁のうちに入らないかもしれません。デモが続く香港では、地元の警察だけではなく、中国本土の武装警察も加わっているともいわれます。中国の武装警察は、ウイグル・チベット・南モンゴルで反体制的な人々の鎮圧しており、香港のデモ隊にマスクを外させて中国の誇る顔認証システムで識別するのも同じウイグルなどと手法です。例え、支配民族である漢族であっても民主化を求める人にはウイグル人などに対するのと同じように容赦がありません。
 
 こういう国が外交においてだけ他者と共存共栄を図るなどということは、まずもってありません。今頃それに気づいた米国は慌てて対決姿勢に変わっています。それに対して、わが国はといえば、いまもってなお本当に気づいているとは言えないかのような融和的な対中外交を続けています。習近平国家主席が個人崇拝を強めているにもかかわらず、それを来年には国賓待遇で招待する話まであるようで、まるでブラックジョークです。それを真面目に考えているような感覚ならば、母親を通して日本に縁のある金正恩氏を日本に招待する方がまだ筋が通るのではないでしょうか。そういいたくなるくらい日本政府が中国の本質を見誤った対応をしているという話です。
 
 他方で、先日、水産庁の漁業取締船が北朝鮮の船と衝突したとのニュースが入ってきました。実際のところは、大和堆の中ですから違法操業していて取り締まろうとした水産庁の船に北朝鮮側がなんらかの敵意を示す行動をして、その結果衝突したのではないかと思います。8月の海保巡視船が銃口を向けられたときもそうでしたが、政府はおそらくことを荒立てる情報は出さないでしょうから、事態が矮小化される可能性もあります。
 
 ですから、我々日本国民がこのような事件の報道に接する際には、相手国を注視するだけでなく、自国政府の動向や情報発信もしっかりと監視をしていかないといけません。中国であれ北朝鮮であれ、どちらも独裁国家です。その独裁国家に日本政府がどう対するのかが重要であって、その日本政府の振る舞いは国民の選択とも言えるのですから、外交や国政に無関心になってしまえば、結局は自分のところに戻ってくるのではないかと思います。
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