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2019-01-22 22:33

東京五輪誘致汚職疑惑について

伊藤 洋 山梨大学名誉教授
 五輪の「輪」の字は車偏をやめて「金」偏に「侖」と書いてオリンピックと読むことにしては如何だろうか。先の2016年リオデジャネイロで開かれたブラジルオリンピックにおいて、その誘致運動に不正があったとして、ブラジルオリンピック(BOC)委員会会長のカルロス・ヌズマン氏がブラジル大会1年後の2017年10月、ブラジル連邦警察によって逮捕された。実に、オリンピックでは選手は「金」を取りたくて励み、主催者もまた「金」を欲しくて頑張るらしく、「金」とは切っても切れない縁で結ばれているものらしい。

 このブラジルのカルロス・ヌズマン会長逮捕劇は、彼が何がなんでもブラジルにオリンピックを誘致すべく、当時、オリンピック開催地選定のキーマンであったIOC委員でセネガル人のラミン・ディアク国際陸連会長(当時)に賄賂を提供すべく、その息子パパマッサタ・ディアク氏に対して「票を買う目的」でブラジル企業から200万ドル(約2億2500万円)の支払いを行ったという容疑であった。絵に描いたような国際的贈収賄事件である。

 この誘致合戦には、なんと我が日本国も参戦していて、こういう不潔な手合いには勝てるわけもなく完敗したのであった。ムベなるかなというものである。しかし、朱に交われば赤くなるのたとえどおり、ブラジルの朱に交わったかどうかは知らないが、あろうことかあるまいことか4年後のオリンピック誘致合戦で、日本オリンピック委員会JOCもまた電通の紹介でシンガポールのコンサルタント会社ブラック・タイディングス社に最終的に2億3000万円と奇しくもBOCとほぼ同額のお金を東京大会誘致運動コンサルタント料として支払ったという。(この規約書に日本オリンピック委員会会長の竹田恒和氏のサインがあるという)この道はジャの道であり、ヘビにつながる道であって、このコンサルタント会社は上記「息子」パパマッサタ・ディアク氏に縁故が有って、親子一体のラミン・ディアクIOC委員に直結していた、というのである。ジャの道は幾本ものヘビの道があるように見えて、有るようで無いもの、無いようで有るものである。このブラジルが歩いた道と竹田氏が歩いた道の一つで、これら二つの道を同じと見るか?違うと見るか?。その犯罪性はまさしくこの異同に係ってくる鍵をにぎる。

 我らは、この嫌疑をフランスによる日産ゴーン事件の報復謀略と見たくて仕方がないのだが、この問題で、フランスの予審判事が竹田会長に対して行った事情聴取の日程は、昨年8月下旬の時点で決まっていたことで、ゴーン氏が逮捕される約3カ月も前に段取りされていたことからして、これは成り立たない。青天の霹靂、この疑惑は2020東京オリンピック・パラリンピックの期待値を一気に冷めさせたことだろう。夏の東京の炎熱をもっても冷めた気分を回復できるものではあるまい。この大会の誘致時に放射能汚染について安倍首相が叫んだ「私が安全を保証します。状況はコントロールされています」など、この上、化けの皮が剥がれなければよいのだが。
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