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2018-12-13 10:34

(連載2)「トランプ包囲網」の形成となるのか

古村 治彦  愛知大学国際問題研究所客員研究員
 ジェイムズ・コミーに関しては、FBI長官を退任後にトランプ大統領を非難していることもあって、カッと来て訴追したいと述べたものと思われますが、その他に、コミーの怪しい動きの裏に誰がいたのかということを知りたいということもあったのでしょう。FBI長官は、エドガー・J・フーヴァーのように、あらゆる情報を集め、政治家たちを脅しあげて、言うことを聞かせることも可能なほどに力があり、かつ危険なポジションです。それに対して、牽制を加えたいということは歴代の大統領が望んだことでしょう。トランプ大統領もその例外ではないということになります。

 トランプ大統領の記事が出た翌日、長女で補佐官を務めるイヴァンカ・トランプのスキャンダルが『ワシントン・ポスト』紙によって報じられました。イヴァンカが政府の業務内容を私的なEメールでやり取りしていたという内容です。これは、外見上は、前述のヒラリーのスキャンダルとよく似た内容で、「ヒラリーを訴追したいと言ったあなたは、娘もまた訴追したいと言うのか」というトランプ大統領に対して喧嘩を売る内容です。

 リベラル派のメディアであるニューヨーク・タイムズ紙とワシントン・ポスト紙が協力して、トランプ大統領をおちょくる、喧嘩を売る内容を報道したという感じを受けます。「ヒラリーのEメール問題で訴追すると言っていたあなたの娘さんで補佐官が同じことをしていましたがどうするんですか」というような感じのおちょくりです。トランプは、ヒラリーの場合とは異なる、とイヴァンカのことを擁護しましたが、ここまで計算に入っての報道でしょう。

 来年の1月から連邦議会も新しい議員を迎えて始まります。連邦下院民主党は過半数を奪取したということで鼻息荒く、トランプ大統領を攻撃するとしています。今回のその材料を与えたということになります。「トランプ包囲網」を形成しているつもりでしょうが、ヒラリーの話が蒸し返されると、民主党にとっては大きな弱点となります。ヒラリーが表に出ない、引退するということであればこの弱点は大きなものとはなりませんが、まだ野心があるということになると、この弱点を突かれてしまうことになるでしょう。「諸刃の剣」ということになります。(おわり)
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