国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2018-08-03 14:34

難航する憲法改正論議

船田 元  衆議院議員(自由民主党)
 去る7月20日、延長された会期を後2日残して、通常国会は事実上閉幕した。終盤になって駆け込んできた法案の採決などで混乱したが、蓋を開けて見たら政府提出法案の成立率は、なんと94%に達していた。「モリカケ」問題をはじめ、政官の不祥事が次々と発覚したにもかかわらず、1ヶ月余の会期延長の効果が出たものと思われる。この国会で私が特に関わったのは、大人の年齢を満18歳からとする民法改正や消費者契約法の改正だったが、いずれも成立させることが出来た。人口減少時代を迎え、若い人たちに早く立派な社会人として活躍してもらうためだが、消費者トラブルの低年齢化を防ぐため、経験不足にかこつけた不当な契約を解除できることなどを盛り込んだ。今後さらに消費者教育の徹底や成人式の取り扱いなど、いくつかの宿題が残っている。

 一方うまく行かなかったのは、憲法改正論議である。通常国会の前半は、自民党の改正項目の絞り込みを行い、後半では憲法審査会において自民案を叩き台として審議する段取りだった。ところが「モリカケ」などの政局に翻弄されたり、野党第1党と第2党の勢力が拮抗しており、複雑な方程式を解くのに時間と労力を費やしてしまった。

 事態打開のため、投票環境の向上を目指した改正公職選挙法と横並びの国民投票法改正案を提出したが、これも実質審議には到達せず、継続審議となった。内容的には多くの政党が賛同を示したが、やはり憲法改正に直結することの警戒感は、野党において根強いものがある。何れにしても、秋の臨時国会で話の糸口が出来たことは良かったのではないか。

 臨時国会においては、自民党案を叩き台として、他の政党のアイデアもどんどん審査会で議論していきたい。その際自民案にあまり拘泥することなく、あくまで叩き台として料理して結構だし、これ以外の項目で合意できれば、それもよしである。柔軟に、かつ諦めることなく、「匍匐前進」の姿勢で取り組むべきである。国民投票でしっぺ返しがあるはずだから、決して強行はしないようにしなければならない。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム