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2018-01-29 07:29

篠田英朗教授の3項加憲論者批判への回答案

萩原 孝夫  無職
 篠田英朗教授が、本欄2018年1月26日付け投稿「我が国の自衛隊は軍隊に他ならない」でこう仰っています。「だがもし戦力でも軍隊でもない謎の曖昧な存在を憲法で位置づけるのが3項加憲案だとしたら、議論として弱いのは否めない。3項加憲案は、その点をはっきりさせるべきであろう」。

 私は、答えはすでに最高裁の砂川判決(昭和34年(1959))で示されている、と考えます。「憲法九条の趣旨に即して同条二項の法意を考えてみるに、同条項において戦力の不保持を規定したのは、わが国がいわゆる戦力を保持し、自らその主体となつてこれに指揮権、管理権を行使することにより、同条一項において永久に放棄することを定めたいわゆる侵略戦争を引き起こすがごときことのないようにするためであると解するを相当とする」。つまり、最高裁の九条解釈は、一項は侵略戦争の禁止、二項は侵略戦争のための戦力保持の禁止である、と読めます。

 私は、三項加憲案の目的も、最高裁の砂川判決(昭和34年(1959))に示されてる、と考えます。上記引用に続く文章です。「従つて同条二項がいわゆる自衛のための戦力の保持をも禁じたものであるか否かは別として」、つまり、最高裁は、九条には自衛のための戦力の禁止や保持を規定している条文がない、と指摘していると読めます。

 私は、憲法改正を考えるにあたって、共通土俵が見られないことを危惧しております。その意味から、故岡崎久彦・大使のご発言が重要である、と考えます。「憲法問題について有権的解釈を下せるのは、国会でもなく、憲法学者でもなく、まして政府の一部である内閣法制局ではない。それは、憲法に明記してある通り最高裁である」。こう考えれば、三項加憲文案ははっきりする、と考えます。「3 自衛のため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持する。国の交戦権は、これを認める」。
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