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2017-09-04 05:32

金の“パラノイア治療”を実行の時だ

杉浦 正章  政治評論家
 とどのつまりは虚勢を張り続ける北朝鮮のパラノイア(偏執病)患者を如何に治療するかということだ。金正恩がパラノイアだという説は今に始まったことではない。近年ミサイル実権や核実権を繰り返すたびに指摘されてきた。米国連大使ヘイリーは金について「パラノイア状態(in a state of paranoia=妄想症、偏執病)だ。彼は、周辺のあらゆることについて非常に心配している」と発言している。米国国家安全保障局の(NSA)の元首席監察官ジョエル・ブレンナーも「あの国を動かしている若者は狂っている。彼のやり方は破壊的で幼児的、病的だ。戦略がない。3歳児と同じで注目を浴びたいのだ」と分析してその狂気性を強調している。前韓国大統領朴槿恵も昨年の核実験の後「北朝鮮の核実験は、国際社会に対する挑戦としか言いようがなく、もはや私たちと国際社会の忍耐も限界を越えている。権力を維持するために国際社会と周辺国のいかなる話にも耳を貸そうとしない金正恩の精神状態は統制不能だと見るべきだろう」と発言した。
 
 いずれも金正恩が「気違いに刃物」状態にあることを強調している。古くから独裁者の精神状態を分析するとパラノイアに行き着くといわれている。ヒトラーはパラノイアの典型的症状だし、スターリンも、あらゆる場所に敵の姿を見て、スパイを疑い、部下の部屋を盗聴させ、疑った人間はすぐさま粛清した。いずれも自分の周りの誰もが敵で、自分の命を狙っているのだ、という典型的なパラノイアを発症している。金はそのヒトラーを限りなく信奉しており、幹部らに就任1年目の誕生日の際、贈り物へのお礼として、『わが闘争』を1冊ずつ配っている。パラノイアの症状は被害妄想、誇大妄想、激しい攻撃性、自己中心的な性格、異常な支配欲、悪魔的なものに美しさを見る悪魔主義などとして表れてくる。金正恩の場合はその症状の全てに当てはまる。まず悪魔主義の姿は、ミサイルを打ち上げるたびに恍惚とした表情で見上げる姿に如実に表れている。打ち上げ後の高笑いは、自分が世界の中心におり、絶対的な存在であると信じ込む自己中心的な性格そのものである。そこには自らが超人、絶対者であるという誇大妄想も見られる。妥協や交渉など一切考えずに攻撃ばかりを考える激しい攻撃性も見られる。叔父の殺害という親族殺人を事もなく行い、昨年までに140人を処刑したのは完全支配を行おうとする異常な支配欲であろう。
 
 まさに紛れもないパラノイアの症状全てが当てはまる。そこには深い思慮などはかけらも存在せず、パラノイアの本能のままに自らの行動を委ねる、まさに「3歳児」の姿だけが浮かび上がる。この妄想人間にどう対処するかだが、治療法には挫折を味あわせるやりかたがあるという。金正恩の場合に如何にして挫折を経験させるかだが、経済的挫折と軍事的挫折の二つがある。経済的挫折は全てが中国にかかっている。中国とロシアは北のミサイルが日米韓に向かう限りは何の痛痒も感ぜず、むしろ基本的には北を米国の圧力への緩衝地帯と位置づけている。中国はこれまで制裁のそぶりを見せるだけで、その実は狡猾にも「バケツのだだ漏れ対応」を行ってきた。石油の禁輸しか手段がないことを分かっていながら、それを実施しない。これを実施させるには、日米韓およびサミット加盟の先進諸国が結束して対中圧力をかけるしかない。経済的な対中包囲網をサミット加盟国も含めて実施に移すのだ。中国を動かすには金正恩を「除去」しても、米韓とも北の国家としても存在を危うくしないという“密約”が必要となろう。

 軍事的対応によるパラノイア治療は、中距離、ICBMなどいかなるミサイルも打ち落とすという「ミサイル実験拒絶」の対応だ。日米韓のミサイルを総動員して、実験のたびに打ち落とす。打ち落とすことによって悪魔主義を断念させる。金正恩がミサイルを打ち落とされたことを口実に、直ちに戦闘状態に突入する“度胸”があるかといえば、ないだろう。金は打ち落とされて初めて日米韓の本気度が分かり「挫折」を味わう事になるのだ。いずれにしても日本は国際的な対北、対中包囲網を主導する必要がある。これらの手段を講じても「治療」が出来ない場合は、金除去の「斬首作戦」を実行するしかあるまい。ピンポイント爆撃か、暗殺を得意とする米CIAが対処するのだ。マスコミの論調は北東アジア情勢を一見行き詰まったように見ているが、打開策はいくらでもあるのだ。
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