国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2017-01-18 19:31

アジアにおける米中の政策変更の惧れと日本の役割

四方 立夫  エコノミスト
 1月7日付のシンガポールの有力紙Straits Times に「シンガポールは米国から距離をとれ」(”Time for Singapore to move away from Uncle Sam’s embrace?”)と題する論文が掲載された。著者はオーストラリア人とのことであるが、政府の強い影響下にある同新聞にかかる論文が掲載されたということは、政府自身がかかる政策変更を検討していることを示唆するものである(http://www.straitstimes.com/opinion/spore-china-ties-at-a-crossroads)。

 シンガポールの現状は、米国との実質的な「同盟国」であるが、昨今の中国の進出、並びにトランプ現象に見られる米国の内向き指向により、同国が中国寄りに舵を切る可能性を論じたものである。現在、シンガポール軍の歩兵輸送船が台湾での軍事訓練の帰路、香港に留め置かれていることも、同国に対する中国の圧力を物語るものであり、今後の外交方針に影を落としている。言うまでもなく、シンガポールはマラッカ海峡を望む戦略の要衝であり、同国が中国に接近することになれば、アジアにおける航行の自由に大きな影響があると共に、同地域の平和と安全に対する重大な脅威となる。

 一方、中国は、習近平体制が盤石であることをアピールしているが、同氏の政敵に対する徹底した「反腐敗運動」並びに人民解放軍の中核である陸軍30万人削減への反発や退役軍人による国防省前での2回のデモ、「2017年問題」と言われる中国から海外への資金の流出、などを見るに危うさを感じざるをえない。又、トランプ次期大統領は就任前の支持率で歴代最低を記録しており、その言動の不安定さ及び指名閣僚の顔ぶれからすると、同じく危うさを感じざるをえない。

 かかる状況下、トランプ就任式前の安倍首相によるアジア歴訪は誠に正鵠を得たものである。アジアにおける自由主義体制の要として、我が国がその”Smart Power”を強化し「積極的平和外交」を推進することにより、米国のアジアにおけるプレゼンスを維持し、中国と米国両方の動きに不安を覚えるアジア諸国と密接に協力して自由貿易を守ると共に、地域の平和と安定に寄与することが喫緊の課題である。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム