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2017-01-16 10:21

プーチン露大統領とトランプ新米大統領の掛け合いに注目

飯島 一孝  ジャーナリスト
 昨年11月の米大統領選で勝利したトランプ氏が1月20日、新大統領に就任し、いよいよトランプ時代が幕をあける。一方、米国への対抗意識を燃やすプーチン露大統領は、米国のサイバー攻撃批判への対抗措置を取らずに、新大統領のお手並み拝見とばかり、余裕の作戦に出ている。ともに「理念よりも損得」という現実主義者だけに、二人の丁々発止の言動に注目したい。近年、米英主導の自由放任主義的資本主義が台頭し、格差社会と金融危機、環境問題の三悪が世界的に深刻となっている。これへの大衆レベルの反発が、既成勢力への強力な「ノー」となり、世界的に内向きな政治が主流になりつつある。この傾向の二大チャンピョンがプーチン大統領であり、トランプ新大統領であるといえる。この二人の言動が2017年の世界を動かしていくことは間違いない。

 では、今年この二人はどう動くのか。米国の影響力が低下するハザマを縫って、ロシアは中東、欧州、さらにアジアに影響力を伸ばしている。これに台頭著しい中国が割って入り、三つ巴の様相になりつつある。こうした大国の動きに一番影響を受けやすいのが日本だろう。日本は日米同盟を基軸にしているものの、肝心の米国が内向きになり、トランプ氏の発言のように、アジア太平洋の安全保障の「肩代わり」を要求してくると、平和国家・日本の根幹が崩れてこざるを得ない。当面、この点についてのトランプ新大統領の発言を注視していきたい。

 一方、北方領土問題を巡って日本との経済協力強化を画策するプーチン大統領は、領土交渉をテコに日米同盟にクサビを打つ構えを見せている。日米同盟関係にクサビを入れてまで北方領土返還を求めるのかどうかの本気度を安倍政権に迫っているのである。これに対し、安倍首相はあわててハワイへ飛んでいき、真珠湾攻撃への「和解」を演出したが、実利を求めるトランプ政権はこんなことで騙されないだろう。今後安倍政権はトランプ新政権に日米同盟の本気度を試されることになろう。

 こうした状況の中で、日本は米中露の三大国との距離感あるいは立ち位置を明確にするよう求められることは明白だ。その際、安倍政権はきちんとした対応ができるのかどうか心もとない。日米間の距離が広がる分、どの国との距離を縮めるのか。ともに領土問題を抱える中国とロシアとの関係を、どう見直していくのか。外務省だけでは無く、安倍政権全体として、これからの国際関係をどう創造していくかを真剣に検討すべきだろう。
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