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2016-07-10 12:32

小池氏に、東京都の「利権構造」の改革を望む

赤峰 和彦  自営業
 7月6日、小池百合子氏が改めて東京都知事選への出馬を宣言しました。公約として、(1)都議会の解散、(2)都内にある様々な利権を追及するチームの創設、(3)舛添要一前都知事の政治資金流用問題に関する第三者委員会の設置、を挙げました。大胆な公約を提示したことで、都民のみならず、国民全体に小池氏の存在を印象づけました。東京都は、財政・経済の規模が大きく、また、地方交付金や補助金を必要としない豊かな財政力があります。そのため、与野党を問わず東京都議の多くはあらゆる事業に口を挟み、さまざまなところに利権の温床が出来上がっています。2020年の東京五輪予算を巡っては、その拡大を多くの都議が歓迎している現状があり、利権の規模はさらに膨らんでいます。そのため、後任知事は、都議たちの思い通りになる人物が望ましいと考えるのは当然です。官僚出身の桜井氏や増田氏を必死で説得していた理由がここにあります。つまり、都連のドンと言われる人たちと自民党都連が小池つぶしを図っているのです。

 都民の多くは、舛添氏の問題について、政治資金の使い方に憤っただけではなく、都政の不透明性を感じ、政治家に対し政治と道徳の一致を求めました。舛添問題に世間の注目が集まるにつれて、自民党都連が舛添氏と全く同じ体質であることが明らかになりました。それどころか、実は野党議員の一部にも同様の体質が見られるのです。そもそも、彼らに舛添氏を追及する資格などなかったのです。今回の小池氏に対するあからさまな拒絶の姿勢は、図らずも自民党都連を中心とする「闇の勢力」の存在を証明する結果となったのです。ところで、自民党都連幹部に限らず、自民党議員の多くは、有権者は「安倍自民党」を支持しているのであって、「古臭い自民党」を支持しているわけではないことを見逃しています。実際、自民党内には名誉欲や金銭欲、支配欲などの私欲の旺盛な人物が広く存在しています。「それでも民進党や共産党よりはまだましだから」と仕方なく投票している国民がいるのです。この厳然たる事実を自民党の全議員は強く認識しなければ、やがて必ず有権者から見放される日が来ることは間違いありません。

 昨年11月に大阪で知事選、市長選のダブル選挙がありましたが、自民党大阪府連は、既得権益を守るために共産党とまで手を組む、という前代未聞の失態を演じました。結果は、大阪維新に完敗し、自民党大阪府連の信頼は地に落ちました。利権を専らとする東京都連は、その腐った体質を変えない限り、大阪府連と同じ運命をたどることになるでしょう。都政の最大の問題点の一つに都議会のあり方があります。都議会の構造を根本的に変えない限り、都政の発展はありません。都議会議員は、毎年2月、6月、9月、12月の計4回、90日前後の定例会の開催日に出席するのが仕事です。しかも、本会議はそれぞれ4~6日前後、各委員会で年間最大20日くらいの頻度でしか開催されていません。都議は一般の社会人と比べれば、何も仕事していないのと同然です。その上、本会議の殆どが「知事が決めたことを追認する」仕組みになっており、条例の制定や予算・決算などの議決、人事などの承認事項以外はすることがありません。また、本会議などでの質問は、舛添氏への追及みたいな案件がない限り、自分で考える必要はなく、職員が用意したものを使って質問すればよいだけなのです。これが、大阪府議会を除く殆どの地方議会の実態です。

 小池氏の公約に「都議会の解散」があります。都議会議員の中には実現不可能と冷笑する人もいますが、都民は小池氏が都政の改革を果たしてくれると理解しています。東京五輪を前に利権議員の総入れ替えをしていただきたいと思います。都議会の改革の第一は、都議の定数の大幅な削減だと思います。本気で住民のための街づくりを考えるシステム作りのために、都議会の定数を30人以下にまで減らし、各種委員会を兼務させるべきです。少人数で都民のための議論や東京の未来ビジョンを描いていく方がはるかに重要で効率的です。都議の議員報酬は年約1600万円、政務活動費月額60万円、これに交通費などを加えると年2400万円以上となっています。やや高すぎるきらいはありますが、少人数の議員が本当に都民のために仕事をするのであれば許容範囲であると思います。このような大胆な議会改革を東京都が実行すると、その波及効果が地方に及びます。まずは東京都が先鞭をつけていただきたいと思います。改革に対しては与野党問わず既得権益を持つ勢力の妨害が予想されます。それでも、改革をしなければ東京に未来はありません。如何なる抵抗があろうとも、小池氏は孤立無援ではありません。都民は都政に大ナタを振るう決意を示した小池氏の姿を拍手喝采で迎えていることを忘れないで頂きたいと思います。小池氏には、しなやかに東京の改革に取り組み、日本の首都にふさわしい東京をつくっていただきたいと切に願っています。
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