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2016-03-14 10:22

(連載1)アベノミクスの成長戦略

島田 晴雄  千葉商科大学学長
 今回はアベノミクスの成長戦略について見てみよう。私のこのシリーズでは、これまでに、アベノミクスを構成する三本の矢のうち、第一と第二について評価をしてきた。第一の矢は株価と企業利益の上昇に大きな効果があったので”成功”と言える反面、膨大なベースマネーの処理に懸念があることを指摘した。第二の矢は経済成長を底支えした役割は評価できるが、財政再建計画が実現できそうもないというリスクを指摘した。アベノミクスの最大のねらいは日本経済をたしかな成長軌道に乗せることで、それができればこれらのリスクもある程度吸収できる。

 したがって、アベノミクスの第三の矢すなわち成長戦略には期待が高まらざるを得ない。成長戦略は、2013年、2014年、2015年と3回にわたって打ち出されてきた。ここでは、それら3つの成長戦略について大まかに評価してみよう。

 第一次成長戦略は、2013年6月に閣議決定され「日本再興戦略」として公表された。それは3つのアクションプランから構成される。(1)産業や人材の新陳代謝を進める産業再興プラン、(2)健康、エネルギー、次世代インフラなどの戦略市場創造プラン、(3)自由貿易を拡大する国際展開戦略プランである。国民の期待を担って打ち出された戦略だったが、発表後、経済成長率はむしろ鈍化した。成長戦略は元来、時間のかかる構造改革なので短期の成長動向で評価すべきではないが、政治は短期の変化に左右されやすいので、安倍首相は年末に、より本格的な成長戦略を翌年にまとめると宣言した。

 2014年6月に発表された第二次成長戦略は、安倍首相が「岩盤規制」を突き崩すと決意を表明した通り、農業など抵抗の多い既得権分野にも踏み込んだ。その積極性には世界も注目したが、分野があまりにも多かったので、海外メディアは the third arrowでなく one thousand needlesと評した。(つづく)
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