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2015-09-07 10:07

「抑止力向上」を無視した安保法案反対論

加藤 成一  元弁護士
 報道によれば、さる8月30日、「安保法案」反対の「12万人」のデモが国会周辺で行われたという。彼らのスローガンは、「戦争法案反対」「9条壊わすな」「戦争に巻き込まれる」「徴兵制反対」「安倍政権打倒」などである。しかし、デモ参加者各自が、「安保法案」の内容を正確に理解したうえでの反対なのか、疑問がある。「廃案」を目指す民主党・共産党など一部の野党や、朝日新聞・毎日新聞など一部のマスコミが、声高に「戦争法案」だと言うから戦争法案に違いない、多くの憲法学者らが「憲法違反」など言うから憲法違反に違いない、「戦争に巻き込まれる」と言うから戦争に巻き込まれるに違いない、などといった理解や理由でデモに参加している人も、少なくないのではないか。このことは、各社世論調査での「安保法案反対」についても言えるであろう。

 実際に「安保法案」の内容をよく読めば、それが「他国防衛」などではなく、あくまでも日本の「自国防衛」のために、集団的自衛権の限定的行使を可能とすることによって、主としてアメリカとの同盟関係が一層強化され、中国や北朝鮮に対する日本の抑止力が格段に向上し、戦争を未然に防止する大きな効果を有することが理解できる。したがって、この「安保法案」は東シナ海での中国との「尖閣諸島問題」「ガス田開発問題」「プラットフォーム建設問題」などや、北朝鮮との「核・ミサイル問題」など、厳しさを増す東アジアにおける安全保障環境の下で、日本の安全保障にとって極めて有効かつ有益であり、決して日本から積極的に他国に戦争を仕掛けるような「戦争法案」などではあり得ないのである。「戦争法案」などのレッテル貼りは、「安保法案」を廃案に追い込むための悪質なデマ宣伝と言えよう。

 その上、集団的自衛権の限定的行使に該当する「武力行使」については、「存立危機事態」という、厳し過ぎるほど厳しい「新三要件」や「国会承認」による厳格な縛りがかかっており、一部野党や一部マスコミが喧伝するような「戦争に巻き込まれる」危険性はない。一部野党や一部マスコミは、この「安保法案」による日本の「抑止力向上」の事実については、まともな反論ができないため完全に無視し黙殺しており、もっぱら「戦争法案」「戦争に巻き込まれる」「徴兵制」などと、いたずらに情緒に訴えて国民を不安に陥し入れ、反対を煽ることしかできない有様である。彼らは、この「安保法案」が日本の抑止力を格段に向上させ、日本の安全保障にとって極めて有効かつ有益である事実は、事実として認めるべきである。

 集団的自衛権の限定的行使容認を含む「安保法案」の成立によって、自衛隊の抑止力、ひいては日本の抑止力が格段に向上する事実は、永年にわたって最前線で日本防衛の任務を遂行してきた、防衛の専門家である自衛隊の元統合幕僚長経験者らをはじめとする、制服組の多くの元最高幹部らが、異口同音に認めるところである。
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