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2015-07-14 14:05

(連載1)安保国会たけなわ

角田 勝彦  団体役員、元大使
 梅雨明け近く猛暑の日々になったが、国会の安保関連法案の審議も熱気を増している。与党が7月13日野党に打診したように15日衆院平和安全法制特別委採決、16日本会議可決が実現しなくても、「60日ルール」適用のため事実上の期限とされる24日までに参院に送り込みたいという与党、とくに安倍晋三首相の決意は固い。維新の党との法案修正合意は困難だろうが、与党は単独強行採決を辞さないだろう。安倍首相が党ネット番組に出演して必要性を訴えるなど努力したにかかわらず安保関連法案への国民の理解が広がっているとは言い難い。内容のみならず政府の強引なやり方への反対も高まっている。それどころかNHKを含む最近の全国世論調査で安倍内閣の支持率と不支持率が逆転した。

 問題は安保関連法案が違憲か合憲かに尽きる。「100の学説よりも一つの最高裁判決」(7月12日高村正彦・自民党副総裁)との主張で「(法制局がこれまで違憲と解釈してきた)集団的自衛権」を合憲と押し通そうとするなら、政治の判断である。歴史上の評価はともかく、権謀術策の国会審議を経て、最期は最高裁と国民の審判にゆだねるほかないだろう。なお、現在、国際情勢は改善に向かっている。ホルムズ海峡の機雷掃海で集団的自衛権による理屈づけに苦心する事態は起こらないだろう。この事案で無理して「集団的自衛権」導入に固執するのは蟻の一穴から平和憲法の堤防を崩すためかと疑われる。

 6~7月のマスコミ各社の与論調査をみると、質問の仕方は微妙に異なるが、法案への国民の支持は依然として広がっていないことがうかがえる(以下朝日新聞まとめ)。共同通信、毎日新聞、朝日新聞は「反対」が過半数。NHKは7月10~12日の調査で法制整備を評価するか聞き、「大いに評価する」8%、「ある程度評価する」24%。他方で「あまり評価しない」31%、「まったく評価しない」は30%だった。産経新聞・FNNは6月27、28両日の調査で法案の成立は必要だと思うか尋ね、「必要だ」49・0%、「必要ない」43・8%。読売新聞は7月3~5日の調査で法律の整備への賛否を聞き、「賛成」36%、「反対」50%だった。

 安倍政権が法案を十分に説明しているかとの問いでは、政権に厳しい数字が並ぶ。共同通信は「十分に説明しているとは思わない」が84・0%、日経新聞・テレビ東京が「不十分だ」81%、読売新聞も「十分に説明していると思いますか」と聞き、「そうは思わない」80%、毎日新聞も「不十分だ」81%だった。(つづく)
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