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2015-05-22 01:10

(連載2)68回目の憲法記念日に思う

船田  元  衆議院議員
 第二は、改正における議論は常にオープンでなければならず、改正に反対する政党も決して排除してはならないことである。改正を最終的に決めるのは国民であり、国民にその判断材料を示すためにも、民主主義の重要な手続きを丁寧に踏まなければならない。第三は改正に関する議論では、各党会派が平等に扱われるべきということである。他の委員会では所属議員の数に応じて、質疑時間が比例配分されるが、憲法審査会では前身の調査会以来、中山太郎元会長が作られた良き伝統として、議員数の多寡に拘らず平等に時間配分されてきた。今後ともこの良き伝統は守られるべきである。

 さてその上で我々が今後議論すべきことは、憲法の全てにおいて改正すべき点を洗い出すことに尽きるが、とりわけ昨年11月6日に、本日と同じテーマで行われた自由討議の中で、改正に前向きな政党の発言者が共通して取り上げたのが、環境権をはじめとする新しい人権、緊急事態条項、そして財政規律条項の設定などであった。これらのテーマを優先的に議論してはどうかと考える。特に緊急事態条項においては、今後高い確率で起こると指摘される、東京直下型地震などの大規模自然災害発生時などに、国会議員の任期が延長できることなど、憲法において予め規定しておくことが急務となっている。東日本大震災の教訓に鑑みて当然の措置と言えるだろう。これらをはじめとして、改正を要する項目について深掘りの議論を行いたいと考える。

 なお私は、全国で憲法に関する勉強会に招かれる機会が多いが、多くの方々から質問されるのは、「自民党の改正草案がそのまま原案になるのですか」ということである。しかしこれは誤解だ。もちろん我々は自民党草案が改正の理想的な方向を示していると考えるが、そこから個別にテーマを適切に取り上げて、議論の場に提供して行くつもりである。しかし実際は衆参両院議員の3分の2の合意を得るために、大いなる妥協を続けることとなり、結果として草案は元の姿ではなくなると考える。あるテレビ番組で、私が「草案は結果としてズタズタになる」と言ったのは、このことなのだ。

 我々憲法審査会のメンバーは、党派の垣根を越え、憲法改正に向けて幅広い合意を得ながら、静かでオープンな環境のもとで、話し合いを続けてまいりたい。(おわり)
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