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2015-05-12 22:07

安全保障、集団的自衛権、憲法論争について思う

宮崎  厚  ベンチャー企業顧問
 私は、民間サラリーマンを長くやっていた人間で、政治や外交問題の研究者でも専門家でもありませんが、表題の件で、野党、リベラリスト、評論家、ジャーナリストなどの意見を見聞きしていて、論理的に違和感を感ずることが多いので、それを意見として以下に述べさせていただきます。

 まず第1に、「国民の意見に従う民主主義的安全保障政策」とはいったい何のことでしょうか?「国の防衛政策や安全保障政策が国民によく分からない」と言う人がよくいます。私に言わせれば、国民は皆、自立した生活を営むため真剣な生活を送っており、そんなことに一々関知している暇はなく、政府に任せる問題ではないかと思います。つまり、確たる国防、安全保障政策を実施することこそが、政府たるものの国民に対する最大の義務ではないかと考えます。全国民が安心して生活活動をできるようにすることこそが重要です。

 第2に、「集団的自衛権は、日本を戦争する国にする」というトンチンカンな意見も散見します。まともな国で戦争をしたい国などありえません。私は、集団的自衛権とは、中国共産党政権の驚異的な軍備拡張に対して、単独で対抗せず、各国と連合して危険に備えるという意味合いに理解します。又、集団的自衛とは、決して自ら単独で戦争を仕掛けることはないと宣言したことと同じだと思います。もう一つ、「イスラム国」や「ボコハラム」などの残虐集団に対して、日本は「我が国の存亡にかかわらない」と放置することが、果たして国際的正義に適うものだとは思えません。戦争は絶対に避けたいと考えますが、常に「国際的正義は何か」と考え、「正義」のために戦わざるを得ない時もあります。さもないと悪がはびこるからです。したがって、民主主義的議論のあり方としては、広い視野ですが、常に「何が正義か」を議論すべきであり、勝手なレッテル貼りは無意味です。

 第3は、憲法論争のあり方です。「憲法は政府を縛るもの」という人が多くいます。特に、国防・安全保障や集団的自衛権に関して、これを言う人が多くいます。私に言わせれば、憲法とは法律構成上すべての法律や規制の頂点に立つものと考えますが、国防や国の安全保障は憲法が定めるものではなく、国すなわち政府の国民に対する絶対的義務の筈です。もし政府を縛るとすれば、国の徴税権を縛るべきです。民主主義とは、市民活動を圧迫する国王からの重税を防ぐために考えられた政治制度であると理解しています。現代に例えれば、官僚制度が理屈さえつけばいくらでも徴税出来る徴税権を抑えなければなりません。又、法律や規制の数も憲法によって制限しなければなりません。さもなければ毎年数百本づつ法律・規制が増えるだけです。個人の自由な活動を保証し、自由な意見を言えるのは自由主義の思想であり、これはこれで社会のエネルギーを確保するために絶対に必要なものですが、民主主義とは、多数決で物事を決める政治的仕組みであり、決して少数意見に従うことではないと思います。ついでに言えば、野党の人が良く言う「政府は国会を軽視している」という発言も、おかしな発言です。国会議員は偉いわけでもなんでもなく、結論を求める時の多数決のための一票に過ぎないのですから。
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