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2015-04-06 14:19

ロシア人の2人に1人は「国家の安定性がなくなった」と嘆いている

飯島 一孝  ジャーナリスト
 ロシア人の過半数が「国家に安定性がなくなった」と、3人に1人が「停滞期に入った」と考えていることが、ロシアの世論調査基金の調査で明らかになった。4月4日付けの経済紙「コメルサント」(電子版)が伝えた。この世論調査は3月下旬、全国規模で行われた。その結果、「ロシアに安定性がなくなった」と考えている人が57%にのぼり、「安定している」と答えた人は31%にとどまった。回答を保留した人は12%だった。

 政治学者のドブロメーロフ氏は「この調査結果はリーマン・ショックが起きた2008年11月の時の結果に似ている。安定性はプーチン大統領がこの15年間にわたって築いてきたものだが、1年前に政治経済状況は完全に変わり、現在は明日の人生設計を考えようと思う人はいない」と分析している。また、世論調査で「ロシアは発展し続けているか」との質問に対し、半分の人は「その通り」と答えたが、「停滞期に入っている」と回答した人が34%にのぼった。回答を保留した人は16%だった。

 一方、プーチン政権への評価に関しては「政権側は安定性を維持するのに追われている」と答えた人が43%と最も多く、次いで「改革の実行に不安がある」が25%だった。つまり、約3人に2人は安定性を維持するのが大事と考えていることになる。これに対し、「抜本的な改革を行う必要がある」と答えた人は20%だった。世論調査基金のプレスニャコワ主任研究員は「国家の安定性がなくなっているという印象が強まっているなら、権力への国民の信頼に深刻な影響が出てくる可能性がある。つまり、改革が必要だという人はそれほど多くはないが、権力に否定的な意識を持っているといえる」と語り、政権側に警告している。

 この記事では、ウクライナ紛争との関係に直接言及していないが、プーチン政権の対ウクライナ、対米欧への強硬姿勢により国家の安定性が崩れたことを示唆している。さらに、欧米の経済制裁などを受け、ロシア経済に深刻な影響が出ていることを暗示している。プーチン政権は国民生活を犠牲にしてまで国家第一主義を貫こうとしているが、それはいったい何のためなのだろうか。ロシアは、国民を軽視したソ連時代の過ちを再び繰り返そうとしているのではないか。
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