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2015-04-03 10:29

(連載2)墜落事故、独首相は謝罪したほうがよい

中村  仁  元全国紙記者
 メルケル首相に対し、このようなことになぜこだわるかといいますと、3月に来日した際、「ドイツは過去に向き合い総括したことが、戦後社会に復帰する基礎となった」というような意味のことを印象深く話したからです。日本に謝罪(この場合は侵略戦争)の仕方を教えようとしたという解釈が聞かれました。わたしも同感する点が多かっただけに、今度は、独首相がきちんと国際社会に謝罪をすべきだと、思うのです。

 今回の悲惨な墜落事故は、関係国、被害者、航空会社関係だけの問題ではありませんでした。「機体が山の斜面に激突した勢いで、多くの遺体が深さ4,5メートルの地中に埋まった」、「激突直前、機内から悲鳴があがった」、「機長がドアを開けろと絶叫し、ドアをナタで叩き割ろうとした」、「副操縦士が取り乱すことはなく、正常な呼吸音がボイスレコーダーに記録されている」など、あまりにも生々しすぎる様子に、報道に接した人たちの身も心も凍りつきました。

 ドイツは、政府も、民間も、航空機の安全に対する信頼を失墜させたこと、事故当時の様子を知らされた人々に精神的ショックを与えたことなどに対し、心底から謝罪すべきです。国にとって道義的な責任は重いのです。謝罪のありかたを重視するドイツならできるはずです。謝罪から次の解決策が生まれることを、ドイツはわれわれに教えました。副操縦士については、「意図的な操縦で事故を招いた」、「過去に自殺の傾向があった」、「ウツ病など精神的な慢性疾患があり、通院していた」、「病気を隠して乗務していた」、「皆が私の名を記憶するようになると、元交際相手に語っていた」などの証言があります。

 事実とすれば、航空会社だけでなく、規制当局、政府にも全面的な責任があります。この面からも国としての謝罪が必要なのです。航空会社の経営トップは「副操縦士は100%乗務できる状態だった」と語ったと報じられています。恐らく被害者への賠償を念頭に、会社としての責任を回避する思惑があったのでしょう。今後、賠償、補償請求問題が具体化します。被害者を恐怖のどん底に突き落としたことを考えると、前代未聞の金額になるのではないかと予想されますね。(おわり)
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