国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2015-03-08 20:05

(連載1)「海外での武力行使」を考える

角田 勝彦  団体役員、元大使
 2月の衆院予算委における論戦のほか、安保法制整備に関する2月27日と3月6日の与党協議で、「集団的自衛権の行使」に向けた政府案の内容などが明らかになってきた。安倍政権は、問題のある昨年7月1日の閣議決定を飛び越え、「切れ目のない対応」と「積極的平和主義」の名の下に、自衛隊の活動を飛躍的に拡大することを意図している。閣議決定そのものをはじめとして、いろいろ問題はあるが、基本は、平和憲法の根幹にある「海外での武力行使」禁止と「専守防衛」を、安保法制整備でどう処理するかである。当面の問題は、国際法上は武力行使と認められている停戦前の機雷掃海である。3月2日北朝鮮が短距離弾道ミサイル2発を発射したような事実はあるが、「海外での武力行使」は是か非かの問題は曖昧にすることは許されない。徹底的討議が必要である。

 政府は3月6日午前の自民、公明両党の安全保障法制協議会に、集団的自衛権を行使できるようにする法整備の骨子を正式に示した。座長の高村自民党副総裁は3月中にもとりまとめたいとの意向を示したが、公明党は「法文審査を行って最終合意をしていく」と4月以降になるとの認識を示した。

 政府は昨年7月の閣議決定で、集団的自衛権の行使に関して、他国への武力攻撃によって「日本の存立が脅かされ、国民の生命や自由などの権利が根底から覆される明白な危険がある場合」など新たな3要件を定めた。今回の法整備はこれを法制化するもので、日本が直接攻撃される「武力攻撃事態」や、日本が武力攻撃を受ける可能性が高まった「武力攻撃予測事態」と別の新事態の概念(「存立危機事態」)を定義し、集団的自衛権行使の法的な位置付けを明確にしている。

 政府内には当初、「集団的自衛権行使もわが国を守る自衛措置だから、武力攻撃事態に含めるべきだ」という意見があったが、集団的自衛権の行使が可能だということを法律で明示するため、新事態を規定する方向になった。ただし、素案は具体的にどういう場合(事例)が存立危機事態に当たるのかという点に触れていない。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム