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2007-02-01 11:10

連載投稿(2)「国際貢献国家」を目指すべし

小沢一彦  桜美林大学・国際学部教授
 グーグルなどに代表される「電子個人主義」社会に対応し、情報文明に適応した社会システムへの体制再編成が、日本では欧米諸国より3周は遅れているのが悔やまれる。グローバル化に適応できる強い企業や強い人材を輩出してゆくためにも、多様な環境で切磋琢磨する強い個性と才能を持った付加価値の高い「新日本人」を養成すべきであろう。

 外交・安全保障でもまだまだ「普通の国」への転換に時間がかかり過ぎている。第1次「北朝鮮危機」からの長いモラトリアム期間を経て、ついに、北東アジア地域で2つ目の「核保有国」誕生を許してしまったことは、かえすがえすも遺憾なことである。ブラジル、南アフリカ、リビアなどの事例はあるが、一旦保有してしまった核兵器を放棄させることは容易ではない。

 アジア地域での多国間安全保障レジームの実現は、いまだ夢のまた夢であり、当分は「日米同盟」の再編成への協力の拡大・強化しかないだろう。だが、せめて「大アジア経済共同体」といったようなアジア地域での多国間経済システムの枠組みだけでも実現すべきである。中国、韓国、アセアン、インド、オセアニアなどとのつまらない「面子争い」を避けて、速やかに実現すべき外交課題である。日本の経済発展・繁栄にとって、「単独発展主義」が有利か、「多国間協調主義」が有利かの、合理的経済判断をすべきである。歴史を勉強し、かつて17世紀の通商・貿易大国であった、オランダの成功体験を参考にすべきでだ。

 国連事務総長を出すことになった韓国の支援を受けながら、安保理の改革を前提に、国連常任理事国入りを目指すべきである。最大のチャンスが到来しているかも知れない。いまの存在条件を冷静に見ると、軍事大国ではない日本が、安全保障の側面で多大な貢献はしにくい様に思う。だが、通商貿易レジームや経済ルールづくり、そして「省エネ型社会モデル」の実現や「地球環境破壊防止」の面では、世界から尊敬される貢献ができるかもしれない。「モンロー主義的鎖国」に向かうことなく、人類社会に感謝される「国際貢献国家」を目指すべきである。(おわり)
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