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2014-11-16 00:57

(連載1)目くらまし解散の先にあるもの

角田 勝彦  団体役員、元大使
 安倍晋三首相の主導で、年内の衆院解散・総選挙へ向けて強風が吹いている。11月17日帰国後、来年10月の消費税率再引き上げの先送りを決断する際は国民に信を問いたいと言っているらしいが、野党のみならず自民党内にも解散の「大義」がない等の反対がある。首相の真意は、この増税先送りに反対する自民党内ベテラン議員(および財務省)に先送りを容認させることにあると解釈もできたが、今や反対議員は野田毅税調会長くらいに減ってそんな牛刀の必要はないし、解散風の強さは首相の翻意を許さない段階になりつつある。11月19日の解散が有力になっている。

 解散は首相の専権事項であるが、現時点での解散は不必要であり、空白期間を生むだけでも国政、とくに予算編成など経済運営に有害である。さらに選挙の結果が大勝をもくろむ官邸の皮算用通りになるとは限らず、政局の不安定化を生む可能性もある。しかし、安倍首相は「強権的手法」に自信をつけたようである。内閣改造後ダブル辞任などで国会審議が行き詰まった状態を総選挙で一気に打開する「リセット」を狙ったものと見られる。与党の勢力が多少減っても、思うように総選挙を実施して首相の権力を増大させ、大宰相になることを狙っているとも見える。

 安倍政権は、これまでも集団的自衛権の一部行使容認を具体化する安保関連法など諸懸案を先送りし、内閣改造、金融緩和や拉致協議などで目くらましを計ってきた。こんどの解散もその一環と見られる。総選挙の結果がどうなるかにせよ、先送りされる諸懸案が解決された訳ではない。野党は大義なき解散に象徴される安倍政権の強権性への批判を強化しよう。安倍政権の困難は続くのである。

 筆者が、10月28/29日の拙稿「難局へ向かう安倍内閣に期待するもの」で「(消費税率再引き上げが)延期となると、また問題である。少しきな臭くなってきた。11月中旬の沖縄県知事選や来年春の統一地方選の動向を含む政局が注目される」と記した際には、ここまで解散が現実味を帯びるとは予想していなかった。(つづく)
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