国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2014-10-01 00:03

(連載2)本腰が入るテロとの戦い

角田 勝彦  団体役員、元大使
 他方、G7(EU含む)の外相は9月25日、ニューヨークの会合後の共同声明で、「イスラム国は致命的な脅威で、壊滅させるための長期的取り組みを支持する」とするとともに、イスラム国の拠点に対する米軍などの空爆について、「イスラム国に安住の地を与えないための重要な貢献」と評価し、外国人戦闘員の流入を防ぐ対策を早期に取っていく方針を確認した。

 オバマ米大統領が9月28日のTVインタビューで自ら認めたように「イスラム国」への過小評価を是正する動きが続いている。26日英国のイラク領空爆決定もその一つである。キャメロン首相は、下院審議で、この空爆はイラクのアバーディ首相からの要請に基づく判断で「合法性は疑いの余地がない」と強調した。集団的自衛権を認めた国連憲章の枠内で行動する立場を示したものである。シリア空爆の可能性も示唆している。

 さて、米ランド研究所によれば2007年から13年の間にアルカーイダのようなテロ組織の数が28から49、攻撃数が100回から950回、テロリスト数は1万8000人から4万2000人に激増した由である(9月29日付読売新聞)。また米情報機関の調べでは、イスラム国や国際テロ組織「アルカイダ」などには、80カ国以上から約1万5000人の外国人戦闘員が参加している。多くは中東や北アフリカ出身者だが、西欧諸国や米国、ロシア、オーストラリアなどの国籍を持つ者も2000人以上いるとされる。「イスラム国」に参加するため、アジア太平洋地域から約1000人がイラクやシリアなどに向かったとの見方もある。彼らは自国に戻ってテロを計画する可能性がある。

 どの国にとっても対岸の火事とはいえないのである。ラブロフ外相が24日安保理で表明したような、外国人戦闘員増加の背景には欧米諸国の中東への介入があるとの認識が正しいのかもしれないが、イスラム国に対しては、武力介入がやむを得ないだろう。(おわり)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム