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2014-09-05 18:14

(連載1)ポストモダンと地政学

角田 勝彦  団体役員、元大使
 「モダーン国家」と「ポストモダーン国家」に関する津守滋氏などの論考を興味深く拝読した。8月18日本欄掲載の拙稿「『世界の警察官』に復帰する米国」を補足する意味もあり、以下「モダン(近現代)のあとに来るものは何か」についての卑見を披露したい。米中日関係、ウクライナ問題、小さくはイスラム国にも関連する問題である。

 いま多くの識者が、世界が、近現代から新たな時代に移る、数百年に一度の変革期にあることを指摘している。「ポストモダン」という用語もこれを示すものである。本来は建築(丹下健三の都庁建築が例)を中心とする文化的概念だったが、「モダンを継ぐ」という意味で広く用いられるようになった。日本の国際政治学には、簡単に言えば列強相克をモダーン、国際法が重視される国際関係をポストモダーンとする見方がある。

 しかし、政治・軍事関係を国際関係の中心において、近現代を列強相克の時代とみるにしても、それを継ぐ時代をそれに対比してユートピア的なものとするのは、視野が狭すぎるとの批判を免れまい。思うに「ポスト」が誤解を生むのだろう(ちなみに私は変革期《私の命名ではニュールネサンス》に続く時代を「メタモダン《超現代)》」と名付けている)。

 名前はともかく来たるべき時代には、パワー(極)のあり方中心に分析して、6つの可能性が考えられる。もっともある可能性が全地域で現出するとはいえないし、現出する時期のずれもあり得よう。またどの可能性が現出するかは、希望はあるが、予想はできない。マルクスの唱えた歴史的必然は存在しない。イスラム国のような宗教的妄想は論外である。(つづく)
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