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2014-09-01 12:00

習近平がモンゴルで中国脅威論の払拭に躍起

笹木 典弘  中国研究者
 8月22日、習近平がモンゴル国会で重要演説をおこなった。習近平は「中国がたえず発展するに従い、世界には一部で中国に対し懸念が生まれ、中国の発展が強大になった後、脅威をとなることを心配している。これは誤解か、曲解である」「中国は発展途上国に対する協力を展開し、正確な義利観を堅持する。私が勝ってあなたが負ける、私が多くてあなたが少ないということはしない。具体的な項目で相手方の利益に配慮する。中国は言ったこと、承諾したことを必ず実行するし、必ず約束を果たす」「地域協力の推進過程で、アジア諸国の交流は互いを鑑とし、相互尊重、話し合いによる一致、それぞれの快適度に配慮するアジア方式を堅持する。これが当該地域の特点に符合した伝統である」と述べている。

 さらに、より具体的には、「相互に尊重し相互に信頼し、独立、主権、領土を尊重し、各国が自主的に選択した社会制度と発展道路を尊重し、相互に内政干渉せず、それぞれの重大な関心事に配慮し、異なる文明交流、対話を促進し、相互理解と相互の賛同を深めなければならない」「共通点を集めて相違を転化させ、大局に着眼し、友好に話し合い、対話と協力で共通認識を凝聚し対立を解決し、国際、地域のガバナンスに共同で参加しなければならない」「協力winwin、相互支援、優勢な方が相互に補い、利益融合を拡大し、力を合わせてFTAと相互聯通建設を推進し、地域経済一体化を深めなければならない」と述べた。同日、習近平はモンゴル首相と会見したが、その際には、さらに「中国の周辺外交の親、誠、恵、容の理念はモンゴルにも完全に適用される」とも発言した。

 習近平はモンゴル国会でも中国脅威論の払拭に精力を傾けた。個別にモンゴルに対してなのか、それとも国際社会に対してなのかは、よく分からない。モンゴル首相との会見での発言からは、東南アジアだけでなく、モンゴルも昨年から強調する「周辺外交」の枠組みに取り込みたいという意図がうかがえる。そうすると、日本包囲網の構築ということになろう。それ故に、モンゴルの中国に対する警戒感は理解できるし、中国はこれを払拭したい。またアジアの特殊性を強調している点も注目される。日本や米国を意識した発言ともとれる。ただ、こうした謙虚な姿勢は是非日本にも適用してもらいたいものだ。

 周波国務院香港マカオ事務弁公室副主任が、2017年香港特別行政区行政長官の普通選挙実現について、まとまった見解を発表している。これは、8月21~22日に広東省深セン市で全人代常務委弁公庁が「香港特別行政区の2017年行政長官および2016年立法会の選出方法に改正が必要かどうか」に関して意見聴取を行ったことに関連してのものである。この意見聴取について、22日付と23日付の『人民日報』が報じている。李飛(全人代常務委副秘書長)、王光亜(国務院港澳弁主任)などが出席している。そして香港基本法と全人代常務委の関連解釈、決定規定の枠組みで進めるべきだなどの意見が紹介されている。香港での反対派の活動が活発なようだが、香港に接している深センで意見聴取することで、中央の方針への支持を宣伝し、世論誘導することがねらいのようだ。
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