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2014-06-16 14:49

イラクに迫り来る脅威

川上 高司  拓殖大学教授
 イラク北部の都市モスルを制圧したイスラム過激派ISISは、バグダッドを目指して南下を始めた。その途中には油田のあるキルクークがある。マリキ首相は市民に武器をとってISISと闘うように呼びかけたが、モスル市民の多くが脱出し始めている。ISISの残忍さは有名で、なにしろ過激派のアルカイーダですら彼らに比べたら穏健に見えるほどだという。ISISはシーア派だけでなくキリスト教徒などあらゆる異教徒をターゲットにテロを起こす。

 そしてISISの武装メンバーはアメリカの軍用車両ハンビーに乗り、アメリカの武器を携帯しているところが目撃されている。アメリカのシリアでの反政府側への支援が機能していないことの表れでもあるだろう。モスルが襲撃を受けたときイラク軍は戦闘をあきらめていち早く霧散したという。11年もかけてアメリカ軍が指導してきたことがまったく役に立っていないことも証明されてしまった。

 イラク政府が危機感を募らせている中、意外なところから支援の声があがった。内戦中のシリア政府は「共通の敵であるテロリストたちに対して共に闘うことができる」と表明した。シリア政府は「外国が支援するテログループへの非難決議と支援国家に対して何らかの行動をとるように国連に要請する」とも述べ、ISISの問題は国連へと舞台を移す可能性が出てきた。

 シリアとしてはここで国際社会の力によって一気に過激派を駆逐したいという思惑があるのだろう。アメリカやヨーロッパ、周辺諸国にとってもISISの脅威は看過できない。特に注目すべきはアメリカの対応だろう。テロとの闘いを継続しているオバマ政権は断固とした態度を取るのか、あるいは距離を置くのか。もし国連が舞台となればアメリカも黙って見ているだけではすまされない。オバマ政権の正念場であろう。
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