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2014-05-28 17:49

(連載1)安倍首相は岸信介元首相に学べ

角田 勝彦  団体役員、元大使
 集団的自衛権の行使容認については、全面賛成派と反対派に限定賛成派が入り乱れ、マスコミがそれぞれを応援して混乱が増している。憲法解釈であるから、本来なら法律論が中心になるべきだが、5月15日安倍晋三首相に提出された安保法制懇の報告書も、その点弱い。

「必要最小限度の範囲の自衛権の行使」が憲法改正によらず政府判断で認められてきた経緯に鑑み、今回も、個別的自衛権に加えて集団的自衛権の行使(国連集団安全保障体制への参加を含む)が認められるという判断を行えば良いと主張しており、個別的自衛権と集団的自衛権の違いの説明は「我が国を取り巻く安全保障環境の変化から集団的自衛権が必要になったから」で、済ませている(なお、安倍首相は、集団安全保障については提言を採用しないとした)。

 政府・自民党は、6月22日の国会会期末までに憲法解釈見直しを含む法改正の基本的方向性について閣議決定することを目指しているとされるが、5月27日に公明党と始めたいわゆるグレーゾーンなどの3分野(集団的自衛権行使容認の本命分野)の協議も「一つ一つの事例をしっかりと議論すべし」とする公明党の方針で難航している。28日からの衆院予算委員会などでの国会審議もスムーズではなかろう。

 5月15日、安倍首相は、全国中継された夕方の記者会見で、二枚のパネルを使い憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を認める必要性を自ら説明したが、世論調査では民意は反対に傾いているようで、内閣の支持率にも悪影響が見えている。学者や識者の反対も強い。5月26日に国民投票法改正案に関し参考人質疑を実施した参院憲法審査会では、出席した憲法学者から、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に批判が相次いだ。24日には日弁連と東京の3弁護士会が共催する反対の街頭演説会もあった。(つづく)
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