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2014-03-21 11:20

中国は、40年前の日本のレベル

熊谷 直  軍事評論家
 杉浦氏の「図々しい奴中国」論には全面的に賛成するが、現共産党政権があえてそのことを承知のうえで行動しているのであるから、対抗策をとりながら政権の崩壊を待つほかあるまい。日本人なら、中国製が「安かろう悪かろう」の代名詞であることを知らない人はあるまい。欧米世界も、製品だけでなく政治的宣伝の内容についても、共産党特有の誇張があることを見抜きつつある。ネットの世界では、ホームページなどを検索すれば、世界の人々の反応からそのことが感じられる。日本政府は受け身ではなく先手を取って事実に基づき、例えば杉浦氏が言うように核の保有についての中国の過去と現状を、国際会議の場だけではなく、メディアなども利用して、世界に広報していくのが、対抗するための正しい手段になるであろう。

 このところ日本の外務省もいくらかこれまでの消極的な態度を改めつつあるようにみえる。アメリカ下院に超党派の日本についての議員連盟が生まれつつあるのも、外務省の態度が影響していよう。外交官は、過去には国の代表として威儀を整えるために国の費用を遣うことも必要であったかもしれないが、先進国といわれる欧米を相手として行動するときは、外面よりも中身が大切であろう。たとえばアメリカの軍人の服装は、相当に威儀を正すべき場面でも迷彩服であることが一般化してきている。その半面で、高級軍人は少なくとも修士号をもち、博士も珍しくない。これは第二次大戦後の米軍がつねに戦時態勢に置かれてきたという状況から生まれた方向だと思われるが、外交官も実務重視に方向転換をすべきであろう。

 40年前の日本の工業製品は、まだまだ世界の最先端をいくものとはみられていなかった。物まねがうまいという批評もあった。それよりもいくらか前の池田首相が、日本の製品の売込み的な働きかけを首脳会談でしたときは、セールスマン総理と揶揄されもした。今の共産中国の平均的なレベルは、その時代の日本の状況に似たところがある。当時の中国製の車は、表面の塗装がでこぼこで、アメリカ車に比べてまだまだであった日本の車と比べてみても、明らかに劣っていた。だが、今の中国製品は、いくらかよくなったものの、当時の日本の製品と同程度のレベルにあるといってよいのではないか。

 日中で違うのは、政治体制である。民主主義が相当に浸透していた当時の日本でさえ、左翼主導の大学紛争が起こり、東大入試が一年間先延ばしにされ、在校生が卒業延期になる荒れた状況がみられた。爆弾事件も各所で起こっていた。共産党独裁の今の中国は、そのような過去の日本どころではない内政危機にあるといってよかろう。中国の下層国民の不満が高じて、独裁体制が崩壊する恐れは十分にある。日本は慎重に中国の武力を背景にした行動に対応しながら、時を稼ぐのが、目下の最良の手段ではないか。
 
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