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2014-03-20 06:58

“図々しい奴”中国に逐一反論する

杉浦 正章  政治評論家
 思いつく限りの材料を取り上げて、世界中で反日キャンペーンを繰り返す中国。その荒唐無稽(むけい)さに米政治学者・ジェラルド・カーチスが「軍国主義者安倍首相が日本を軍国主義にしようとしている、と中国が言うのはあまりに図々しい」とテレビであきれていたが、中国はとどまるところを知らない。今度は核サミットで日本のプルトニウム保有批判だという。ヒトラーの天才的宣伝相・ヨーゼフ・ゲッベルスは「うそも100回言えば本当になる」と述べたと言うが、まさに柴田錬三郎ではないが「図々しい奴」を地で行く国家だ。主人公・戸田切人は愛嬌があったが、国家的図々しい奴は、結局最後はその手法を読み取られて敗北する。日本は宣伝戦に負けずに、正論で世界の世論を喚起して、共産党政権が崩壊するまで戦うしかあるまい。中国が先進国の製品をやり玉にあげて批判するのは常とう手段で、アップルが被害を被ったが、今度はニコンだという。既に明らかになって対応が取られているデジタルカメラD600の欠陥批判を国有テレビでキャンペーンしている。しかし長年ニコンを使って感じたことは、なぜか中国製の部品だけが壊れる。最近入手したD800Eの場合、バッテリーパックが最初から通電しないのでよく見ると、中国製だった。D7100に至ってはUSBケーブルが通電しない。店にクレームをつけると中国製だった。ニコンも自社製品のレベルを維持できない中国製部品を使うのはやめるべきだが、それほどひどい製品ばかりなのだ。

 新幹線の墜落事故を起こすような国が、日本の技術力の粋をあつめたカメラを批判するのはおこがましい。まさに図々しい奴だ。先に閉幕した全人代では反日攻勢の一層の先鋭化が目立った。首相・李克強が「第2次大戦の勝利の成果と、戦後秩序を守り抜き、歴史の流れを逆行させることは決して許さない」と首相・安倍晋三を非難。外相・王毅も「歴史と領土という二つの問題で妥協の余地はない。歴史の流れの逆行は許さない」と、ついに尖閣問題を歴史認識と同一化してしまった。在外大使を総動員した先の反日キャンペーンでは、「軍国主義者・安倍による日本の軍国主義化批判」のマニュアルを作って、大使たちに発言や投稿をさせている。しかしこればかりは「図々しい奴」どころか、「盗っ人猛々しい奴」ということになる。まず習近平は全人代で軍への関与を一層強め、独裁体制と言えるほどの地位を確立させた。一方で安倍は普通の国が保有する集団的自衛権の行使すら、「能天気族」の反対で難航している。これこそ民主主義国家の証しだ。英国の「ミリタリー・バランス」によると、中国の軍事費支出は1122億ドルだが、日本はその半分の510億ドルだ。中国は戦後、朝鮮戦争、中印戦争、中越戦争そして中ソ国境紛争などを繰り返してきたが、日本は平和国家に徹して、銃弾一つ撃っていない。

 世界の国々も、中国のプロパガンダのデタラメさは理解しつつある。英紙「エコノミスト」が発表する「世界平和度指数」というものがある。144か国について24項目の平和への貢献度を調査したもので、その最新版の2007年から2013年のランキングでは、日本が6位なのに対して中国は101位だ。だいたい中国は戦後70年を機会にロシアに戦勝国会議を提唱しているが、日本は中国共産党政権に敗北していない。敗北した相手は中華民国だ。中国共産党が戦勝国気取りなのはおこがましい。もう少し歴史の基礎を勉強した方がいい。さらに図々しさの骨頂は、日本のプルトニウム保有批判だ。最近、日本の“核武装”が怖くなったのか、猜疑心の強いオバマは日本に貸与した高濃度プルトニウムを「返せ」と言い始めた。冷戦時代に研究用として核兵器40~50発分を提供したものの返却を求めたのだ。24日からの核サミットでは日米が返却で合意にこぎ着ける流れだが、これを中国がかぎつけて、反日キャンペーンに活用して、アメリカを取り込もうとしている。中国は既に1月1日付の「解放軍報」で「日本は核爆発装置2~5個を製造した」と大うそをついているが、核サミットでもこうした主張でプロパガンダを展開する方向だ。これも「盗っ人猛々しいの二乗」のような話だ。日本のプルトニウムは再活用するプルサーマル方式の研究用のものであり、国際原子力機関(IAEA)の厳しい査察を受けている。それをウイグル自治区の住民を10万人も死亡に至らしめてまで核実験を繰り返し、現在400発以上の核弾頭を保有する国がイケシャーシャーと言えることだろうか。

  まさに中国は「世界イケシャーシャー賞」に匹敵する国家であろう。こうしたうそ八百を並べ立てた中国のプロパガンダに対抗して、安倍は懸命の巻き返しを図っている。その戦術は正統派であり、各国の理解を得つつある。18日のベトナム大統領との会談で海洋進出を強めている中国を念頭に、国際法の原則に従った紛争の解決が重要とする共同声明に署名した事などは、中国の「虚」に「実」で対抗している良い例である。フィリピンやベトナムへの巡視船供与なども「実」の対抗の好例である。しかし米海軍大学教授のトシ・ヨシハラが中国の米国内でのプロパガンダについて「米国における尖閣諸島に関する宣伝は中国の方が日本より巧妙だ」と述べているように、宣伝戦では押され気味であることは否定出来ない。ここは先手を打った戦略的広報に力を入れて、過去の軍国主義より現在の共産党独裁国家の方がよほど危険であることを世界に知らしめなければなるまい。ゲッペルスの善し悪しは別として、ゲッペルス的な宣伝手法の良い部分も視野に入れるべきだろう。
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