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2013-10-31 12:01

(連載)積極的平和主義を考える(2)

角田 勝彦  団体役員
 NSC設置法案提出の際、菅官房長官は、設置の意義について「北朝鮮の核・弾道ミサイル開発の脅威、中国の透明性を欠いた軍事力増強といった懸念事項をはじめ、安全保障環境は厳しくなっている。官邸の外交・安全保障の司令塔機能を強化するためNSCの設置は不可欠だ」と強調した。

 「国家安全保障戦略」要旨では「安全保障上の課題」として、「パワーバランスの変化と技術革新の急速な進展、大量破壊兵器の拡散の脅威、国際テロの脅威、海洋での力による現状変更を企図する動きの増加、人間の安全保障を脅かす課題、リスクを抱えるグローバル経済、北東アジアの戦略環境の特徴、中国の相対的な影響力の増大、北朝鮮の軍事力の増強と挑発行為」をあげている。

 北朝鮮及び中国の脅威に関しては外交面のみならず軍事面で適切な準備が必要なことはもちろんであるが、「積極的平和主義」が意味すべきもの、またその前提となる国際的安全保障環境については、なお慎重な分析が必要である。

 筆者としては、冷戦終焉で世界的核戦争の危機が消滅してから、国際的安全保障環境は改善していると考えたい。米中戦争は考えられない。国際テロを含め局地的問題にしても、シリアへの武力攻撃が回避されたことが示すように、外交と不完全ながら国連が具現する集団安全保障体制の比重が増大している。イランと北朝鮮についても交渉が続いている。地球温暖化のような環境問題や原子力利用を含むエネルギー問題など対処すべき地球的諸問題もある。武力を行使することなく平和に貢献することこそが、「積極的平和主義」に期待されている役割ではないだろうか。(おわり)
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