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2013-08-31 10:52

(連載)地球温暖化対策の中で、原発を見直せ(2)

角田 勝彦  団体役員
 「2度の上昇」が、大規模な水不足や広範囲でのサンゴ白化、生物種の絶滅リスク増大といった生態系破壊など、地球温暖化の被害が深刻になる境目とされるなか、2012年11月、世銀は、各国が温室効果ガス削減の目標をすべて達成しても、世界の平均気温は、約20%の確率で2100年までに「4度を超えて」上昇する、とする報告を発表した。各国が目標を達成しなければ、それは2060年代にもやってくるとしている。

 2013年3月、気象庁は、21世紀末(2076年~95年)の日本の年平均気温が、20世紀末より「約3度上昇する」との予測を発表した。5月には、気候変動枠組み条約(事務局ドイツ・ボン)のフィゲレス事務局長は、CO2濃度が初めて400ppmを超えたとして「人類は歴史的な境界を超え、新たな危険領域に突入した」との声明を発表し、危機感をあらわにした。

 現在、京都議定書で定めのない2013年以降の地球温暖化対策の国際枠組みづくりが滞っている。京都議定書は先進国だけに温室効果ガス削減義務を課していた。現在、世界の排出量の4分の1を占める中国(1位)とインド(3位)は途上国扱いで、削減義務がなかった。米国(ブッシュ政権)は、これを問題にして、2001年京都議定書からの離脱を表明した。今でも温暖化は先進国の責任だと言い張って、削減義務は負わずに、先進国から対策資金を引き出そうとする途上国と途上国にも応分の削減義務を求める先進国の間の溝は埋まっていない。

 2010年11~12月にメキシコのカンクンで開催されたCOP16は、途上国への資金援助や新興国を含む排出削減の検証の仕組みなどの要素を盛り込んだ「カンクン合意」を採択した。先進各国は20年までの自主的な削減目標を示すことで合意した。2011年末に南アのダーバンで開催されたCOP17は、米国や中国を含む新たな法的枠組みを2020年から始めることを定めた工程表「ダーバン・プラットホーム」を採択した。新たな枠組みでの温暖化対策については作業部会を創設して協議して15年までに採択し、20年の発効を目指している。京都議定書は、13年からの第2約束期間を設定して継続することになったが、日本は第2約束期間には参加しない。つまり第2約束期間で削減義務を負うのは主に欧州で、合計排出量は全体の15%程度にとどまってしまった。(つづく)
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