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2013-07-29 20:57

国民的な外交・安全保障論議を求める

二宮 剛  大学非常勤講師
 先の参院選をとおして、メディアや一般の人々、さらには政治家が、特に外交・安全保障問題についてどのような議論を行い、それがどう選挙に反映されるのか、そして選挙後には世間一般の興味・関心や政策論議の中身などにおいてどのような変化が生じるのか、あるいは生じないのか等を観察してきたが、日本人とはつくづく不思議な人種であるという思いを新たにした次第である。

 選挙公示前、あれだけメディアでも取り沙汰されていた中国の拡張主義的で一方的な外交攻勢や尖閣諸島を巡る領有権の問題、さらには北朝鮮の核・ミサイル問題や拉致問題等は、ついぞ選挙期間中、候補者からも、メディアからも、そして一般市民からも、具体的な議論を聞くことは出来なかった。それを突っ込んで聞こうとするメディアも数少なかった。唯一、安倍総理が選挙戦終盤に「9条改正論」を提起したことで、日本の防衛や安全保障に関する論争がにわかに沸き上がった感があるが、これは戦況が自民党優勢であることが分かってきた後での発言である。選挙戦序盤に提起し、広く国民にその意義を問う姿勢ではなかったと思う。

 選対専門家や政治家から見れば「選挙ではそもそも外交・安保問題は争点にならない」とのこと。なるほど、では政治家の先生方は、いつこれらの問題について議論するのか。国会だろうか。しかし外交・安保問題に関して、国会で聞かれる常套文句は「ーーーといったきわめて重要な懸案事項については、広く国民的な議論が必要」とのこと。では、「国民的な議論」の場とは何時、何処で行われるのか。選挙とは「国民的な議論」を可能とする一つの有益な機会である。これを我々は十分に活かし切れていないと思う。

 もっとも国民的な議論の場は選挙だけでない。ネット上や紙面、論文、会合、シンポジウムなど至るところに存在する。このe-論壇「百花斉放」なども、その最たるものである。与野党を問わず政治家の先生方に求めることは、引き続きブログやツイッターあるいはその他の様々な媒体を通して、自身の考えや政策について語り続けることである。日本が現在直面している外交・安全保障問題に対処するためには、広くかつ賢明な議論、問題提起、政策対話が不可欠である。今後3年間は、総選挙や辞職がない限り国政選挙は行われない。だからこそ、我々はなおさら注意深く、外交・安保論議を継続的に、そして積極的に喚起し、議論を深めていく必要があろう。
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