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2013-07-26 20:04

憲法改正と96条先行改正

伊藤 英成  元衆議院議員
 参議院選挙は、自民党大勝の結果、自公与党が参議院でも過半数を制した。選挙期間中は憲法問題の議論はやや低調であったが、今回の選挙結果を踏まえ、今後は、憲法改正問題の議論が活発に行われていくであろうし、それを強く望む。しかし、憲法96条の改正問題についての各政党や学者の議論については、私はしばしば疑問を感じるので、以下に私見を述べる。

 96条はあくまでも改正のための手続きのルールである。しかるに、これを「手続き以外の改正内容とセットで考えるべきだ」あるいは「96条改正を先行すべきでない」という趣旨の主張があるが、理解に苦しむ。96条が憲法改正の手続きのルールである限り、先行改正すべきは当然である。ルールは先ず初めに決めておくべきものである。また「改正内容とセットで考えるべきだ」という政党は「改正内容により国会の発議要件の比率(現在3分の2)を変える」ということだろうか。それこそナンセンスに思えるが、如何だろうか。

 そもそも96条を改正すべき理由である。96条は「衆参それぞれの総議員の3分の2以上の賛成で発議し、国民に提案する」こととなっているが、約20年間国会に席をおいてきた者の実感から察すれば、次のように考えるが、如何だろうか。

 衆参それぞれで与党が3分の2以上を占めることは、極めて稀な事態であると考えるべきである。しかりとすれば、衆参それぞれで3分の2以上の賛成にならない改正内容は、当然国民に提案することが出来ず、国民が選択する機会がなくなる。例えば、国会の衆参2院制の見直し、即ち衆参の権限に大きく差をつける、または一院制にする改正案が衆参それぞれで3分の2の賛成を得ることは、現在の国会議員の状況を見る限り、可能だとはとても思えない。しかし国民の中には本件につき大きな関心を持つ者は少なくない、と思われるのである。
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