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2013-05-17 16:29

(連載)歴史認識問題を考える(1)

角田 勝彦  団体役員
 最近の世論調査が示すように、日韓及び日中間の歴史認識問題は互いの関係が発展しても解決することは困難であろう。しかし、とくに韓国で多い「この問題が解決しなければ日韓関係は発展しない」という見解が誤りであることは歴史が証明している。さらに第2次大戦における枢軸国の敗北と連合国の勝利がもたらした戦後体制(とくに武力による紛争の解決の制約と信教の自由を含む基本的人権の尊重)は、例えば尖閣問題や靖国参拝問題で日本の立場を支援するものである。

 歴史認識について、日本政府の公式見解である「村山談話」と「河野談話」の修正を今更行い、連合国の中心であった米国を含む諸外国の批判まで招くことは得策ではあるまい。安倍総理の歴史認識に関する従来の主張通り、「歴史家が決めるもの」「私が神のごとく判断するものではない」(5月15日午後の参院予算委員会)で良いのである。

 日本の「言論NPO」と韓国の「東アジア研究院」は、本年3~4月、日韓両国で共同世論調査(回答数それぞれ約1000)を実施した。2012年に日中関係でなされたのと同種の調査もある。これによると「歴史認識問題が解決しなければ日韓関係は発展しない」と見る韓国人は41.5%、日本人は25.9%だった。日中間の歴史問題については中国人は25.1%、日本人は14.3%だった。逆に「両国関係が発展しても歴史認識問題を解決することは困難」と見る日本人は32.1%で、韓国人の29.3%より多かった。日中関係では、やはり日本人が42.7%で中国人の24.2%より多かった(2013年5月15日付読売新聞)。「歴史認識問題の解決」が具体的に意味するもの(例えば片付いたはずの賠償や要求に限度がないこと)への危惧などから、要求される側の日本人が悲観的になっているのだろう。

 5月11日東京で、この世論調査をもとに実施された「第一回日韓未来対話」で、韓国側は歴史認識の議論に固執する姿勢が目立って、日本側出席者に「過去対話だ」と嘆く声もあった由である。歴史認識の基本は第2次大戦の評価である。それは、要するに、ナチスドイツ、ファッショイタリア、軍国主義日本が手を組んだ枢軸側が、民主主義陣営を中心とする連合国(UNITED NATIONS)側に侵略戦争を仕掛けて(韓国併合や満州事変を含む)、敗北し、植民地等は整理されたというものである。戦後の国際秩序である国連(英語では連合国と同じ)は、その再現を防ぐことを一つの目的としている。国連憲章の敵国条項はそのためである。(つづく)
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