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2013-02-16 09:55

北朝鮮の孤立化に向けて実効的な措置を取れ

松井 啓  大学講師
 北朝鮮は2012年12月12日弾道ミサイル発射に「成功」し、2013年2月12日には第3回目の核実験に「成功」した。更に第4回目の「新型」の核実験を近々(これまでの語呂合わせなら、2013年3月13日に)行うであろう。2011年12月30日及び2012年12月24日の本欄への拙稿で指摘したように、若い独裁者金正恩は、「小国」北朝鮮が「大国」アメリカと対等の立場で対話を行うには、唯一の抑止力となる核兵器を持つ以外にはないとの「遺訓」を継承し、国内体制維持のためにも、これを手放すはずはない。アメリカは民主的人道的交渉を20年近く継続し、北朝鮮に食糧援助を掠め取られ、ミサイルと核の開発のための時間稼ぎをやられた。

 中国にとって朝鮮半島は死活的重要地域であり、朝鮮戦争では大量の「義勇軍」を派遣して、北朝鮮を守り抜いた。以降80年間にわたる中国と北朝鮮の党と軍の関係は脈々と続いている。中国の「属領」と化し、中国に頼らざるを得ない北朝鮮の不安定な現状は、対米、対露政策上も中国にとって好都合なものである。経済制裁をちらつかせる国連の「声明」や「決議」は、北朝鮮にとっては「文字が印刷された紙」以上のものではなく、何ら恐れる必要はない。中国も(対北朝鮮ジェスチャー)その内容の弱体化には努めるが、正面切っては反対せず、「責任ある大国」としてのジェスチャーを示しつつ、「中国の影響力には限界がある」と逃げを打っている。

 しかし、中国は、北朝鮮の現体制が崩壊しないよう、年間50万トンの原油(北朝鮮の消費量の半分)を提供し、経済制裁の裏で北朝鮮との貿易を拡大し(北朝鮮の貿易総額の80%は中国との取引である)、2012年の貿易額は過去最高となり、更に対北投資も拡大している(経済データは日経新聞)。

 このような状況下では、国連での非難・声明はもちろん必要ではあるが、イランの例が示すように、欧米流の交渉だけでは、いたずらに北朝鮮に核とミサイルの開発推進の時間稼ぎをされるだけである。現段階で実効的な手段を打たなければ手遅れになる。具体的には、北朝鮮の孤立化であり、カネ、モノ、ヒトの流れを断ち切るよう関係諸国が協力することである。金融制裁(海外資産凍結、銀行口座閉鎖、送金規制等)、物流を止める海上、航空路封鎖(食糧、資機材、石油、ウラニュウム等の流出入阻止等)、人物交流の規制(技術者、イラン、パキスタン、アルカイダ系人物との接触監視等)、インターネット監視などが差し当たり考えられる。日本は、特に韓国、米国と緊密に協力して、できる限りの措置をとるべくきである。他方、既に150万人を超えた利用者がいるといわれる携帯電話やインターネットを活用して、北朝鮮の人々に内外の実情を知らせる方法も検討に値しよう。
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