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2013-02-12 10:23

円レートは現行の1ドル90円前後で安定させよ

小川 元  文化学園大学客員教授
 安倍政権による思い切った政策の転換により、市場のみならず国民も、将来に明るさを感ずるようになったことはまことに喜ばしいことである。しかしながら、物事には何事も程度と言う事があり、特に為替相場に関しては70円台という異常な円高から脱却し、輸出産業の業績も改善しつつあり、購買力平価から見ても妥当な水準に達している現在、現行為替水準を維持することが最適であると思う。

 円安には当然弊害もあり、これ以上の円安は望ましいことではない。もちろん為替は相場で動くので、政府がコントロールできるものではない。しかしながら、政府がはっきりした意思表示をすれば、今後の為替安定に大きく寄与することは間違いない。そもそも輸出産業の競争力喪失は、円高のみに起因するものではない。むしろ一時期の過剰な円安に起因することが大である。2002年に私が海外に赴任した時、1ドルは120ー130円であったが、その時に家電製品はすでに国際競争力を失いつつあった。南米各国で、国際空港のモニターがほとんど韓国製であることを見た時の、私の驚きを今でも思い出す。

 企業は円安に安住して、Innovationを怠り、縮小する国内マーケットに拘泥して、海外へ打って出るバイタリティーを失った結果、急激な円高や海外の技術革新に対応できなかったことが、衰退につながった主因であった。ソニーのウォークマンがIPadに押されたのが典型的な例であろう。これ以上の円安は再び企業に進取の気性を失わせ、来るべき円高に適応できなくなろう。90円のレベルで安定させ、後は企業の自助努力に任せるべきである。

 円安は、又エネルギーを始めとする輸入物資の価格高騰を招き、コストアップを惹起する。これにより国内産業トータルで見た時、円安のメリットは大きく損なわれよう。又当然のことながら日常品の価格が上がりm一般庶民、特に低所得層と年金生活者の生活を直撃する。インフレ率2%と云っても、日常生活品は当然もっと上がることになる。政治家はマクロ経済のみならず、ミクロの国民生活にも気を配ってもらわねば困る。一部学者の机上の空論に振り回されること無く、バランスの取れた政策を実行してもらいたいものである。
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