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2012-12-31 13:32

(連載)平和と繁栄の宰相とならんことを(2)

角田 勝彦  団体役員
 さて中国の新華社通信などは、12月16日の衆院選以降、日中関係改善に向けた安倍氏の「誠意」を占う指標として、靖国神社参拝、憲法改正、尖閣諸島の3点を繰り返し挙げた。安倍氏は「戦略的互恵関係へ努力する」と日中関係改善に意欲を示すとともに、22日には衆院選の政権公約にある「公務員の常駐」など尖閣諸島の実効支配強化策は当面「検討」にとどめ、関係が冷え込んでいる中国を刺激しない考えを明らかにした。靖国神社への参拝に関しても13年の春季例大祭での参拝は見送る意向を示した。

 内閣発足後27日未明の記者会見で、菅義偉官房長官は、近隣のアジア諸国への侵略と植民地支配を謝罪した1995年の村山談話を、第2次安倍内閣として踏襲する考えを示した。韓国との関係では「政府主催で2月22日の『竹島の日』に式典を開催」とした自民党公約も慎重に考えることとなった。他方、尖閣諸島周辺の領海や領空への侵犯を繰り返す中国に対し、安倍政権は海上保安庁の強化を検討するとともに、国の防衛力整備の長期的な指針である「防衛計画の大綱」(現行「大綱」は、菅政権の2010年末に閣議決定し、11年度から約10年間の防衛方針を規定)を見直す方針を決めた。

 また、日本に近い東シナ海を自国の権益が及ぶ海域と主張する中国の大陸棚拡張申請に反対し、審査対象としないよう求める意見書を米ニューヨークの国連事務局に提出した。審査入りには利害が絡む隣国の同意が必要なので、中国の申請は審査されないまま棚上げとなる見通しである。問題は、中国機の我が領空侵犯である。12月27日、中国国防省報道官は、定例記者会見で、尖閣諸島に中国国家海洋局のプロペラ機が接近し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進する事態が続発していることについて、「中国軍は空自機の動向を注視、警戒している。軍が海上法執行や漁業などの活動の安全を守るのは当然だ」と述べた。中国も軍用機を出動させる可能性を示唆したものである。

 安倍内閣の慎重な態度に対し、中国が軍用機まで出動させることがあれば、我が国として公務員常駐などを検討せざるを得ないだろう。かかる決意は、誤解の無いようあらかじめ中国側に伝達しておくべきである。また安倍総理訪米時にも、米国に説明しておくべきだろう。幸い米国は政府のみならず立法府もは「尖閣は、安保条約の適用範囲内」と表明している。中国も米国からの警告は重視せざるを得ないだろう。(おわり) 
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