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2012-11-20 11:14

オバマ大統領の犯した決定的なミス

理恵 サンストロム  ジャーナリスト
 11月14日オバマ大統領はホワイトハウスのイースト・ルームで8カ月ぶりに記者会見に臨んだ。財政問題などの後、予期されていたベンガジ、ペトレイアスに関する質問には大統領は不快げに返答を避けた。APのベン・フェラーの「元CIA長官ペトレイアスとアレン大将の関連した問題で、国家的機密や、機密情報が漏れた恐れはないか」との質問には、「今は何の証拠もないし、現在明らかに調査の過程にあるこの問題についてコメントを避ける」と答え、フェラーのさらに追い込んだ「最高司令官として大統領とアメリカの国民は選挙前にCIA長官が調査の対象であったことを知る権利があった、と思われますか」との問いには「それはFBIに聞くべきで、現在の段階で干渉するべきではない」と逃げを決めていた。

 オバマ大統領ががミスを犯した決定的な瞬間は、ABCニュースのジョナサン・カールの「ジョン・マッケーン、リンジー・グラハム両上院議員は、今日ベンガジ・テロ襲撃事件とスーザン・ライスの国務長官指名問題に関してウォーターゲート式調査委員会を設けたく、ことに大統領のライス大使の国務長官指名に関しては全力を尽くして妨害する、と述べています。グラハム上院議員はベンガジ問題で虚偽の証言をしたライス大使を信用できない、と述べましたが、これについてのご意見と、この脅迫に対して大統領は指名を思い止められますか」との問いに答えたときであった。オバマ大統領は血相を変え「スーザン・ライスに対して明確にすることは、彼女には立派な功績があることだ」と大使を礼賛した後、彼女の5つのテレビ局での言明に関して、「私が前にも言ったように、彼女はホワイトハウスのリクエストに従い、与えられたその時の情報に基づいた意見を携えて、テレビ局に出演したまでのことだ。彼女はベンガジ問題に関しては何も関係ない。もしマッケーン上院議員とグラハム上院議員他が追い詰めるなら、この私を追い詰めるがいい。喜んで私は彼らに応じる。しかもベンガジ問題には何の関連もなく、与えられた情報をそのまま伝えただけの罪のない国連大使を追い詰めるなど言語道断だ」と激しい口調で詰め寄った。

 その後FOXニュースのエッド・ヘンリーの「“追い詰めるなら私を追い詰めろ”と仰ったので、ジョナサンの質問をもう一度追わせていただきます。ベンガジで亡くなった4人の1人シーン・スミスの父親レイは“息子はベンガジから緊急電話で9・11的ヘルプを叫んでいた。それにも拘らず彼らの必死の要求は受け入れられなかった”と言っています。大統領は彼らの死を悼み、事情を調査するとおっしゃいましたが、家族はすでに2カ月も待ち続けています。私が伺いたいのは9月11日に大統領は最高司令官として命令を発し、彼らの生命を守ろうとなさったのですか」との質問にオバマは「私はプレスを通さず彼らに直接説明する」と述べ、それから「何度も言うように、私にとって私が危険な地域に送り込んだ人たちを守るのがプライオリティだ・・」云々とあいまいに逃げた。

 彼のミスは、スーザン・ライスが「ホワイトハウスのリクエストに従い・・・」と「与えられた情報に従い・・」「彼女はベンガジ問題とは何らの関連もない・・・」であった。スーザン・ライスがテレビ局で虚偽の証言をしたのは何故か、自発的か、委任か、が大きな疑問であったのを、大統領自身が漏らしてしまった。メディアと議会が大喜びしたのは、「ホワイトハウスからのリクエストであったこと、ベンガジ問題とは何らの関連もないのなら何故大使を選んでテレビ局に送り込んだのか、国務長官のヒラリーか、CIA長官を送り込むべきではなかったか」「ホワイトハウスの誰がリクエストしたのか」という新たな疑問であった。大統領が血相を変えて、「弱い者いじめをするなら私に向かってこい、相手になってやる」式の”Big Boy”を演じたほど大使は弱弱しい女性なのか、その彼女が国務長官に適するのか、とグラハム議員たちに格好の餌を与えてしまったことだ。翌11月15日ペトレイアス元CIA長官は議会調査委員会に出頭し、非公開の状況下でオバマ新政権にとって不利な証言をした。
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