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2012-11-03 00:59

(連載)日本再生は世界とのつながり強化の中で(2)

角田 勝彦  団体役員
 世界経済の減速に日中関係の悪化も加わり、景気と物価(デフレ)の先行き懸念が強まっている。政府は10月26日、7000億円規模の緊急経済対策を閣議決定した(財源は2012年予算の予備費である)。また日銀は30日、金融政策決定会合を開き、景気の悪化を食い止めるため、9月の会合に続き追加の金融緩和を実施することを決めた(国債などを買い入れる基金の規模を11兆円増額し、基金の総額を91兆円まで増やす)。

 緊急経済対策は小粒過ぎるとの批判があり、政府は11月中に対策の第2弾をまとめる方針というが、財源確保のために編成すべき補正予算のメドさえ立っていない。切れ目のない経済対策が困難になろう。早急に必要なのは、施政方針演説臨時国会で、今年度当初予算の財源を確保するための特例公債法案を成立させることである。

 野田首相は、本演説で「明日への責任」を強調し、経済再生を推し進める第一の原動力は、フロンティアの開拓により力強い成長を目指す「日本再生戦略」にあると述べた。「グリーン」(グリーンエネルギー革命)、「ライフ」(再生医療の推進)、「農林漁業」(6次産業化)の重点3分野と中小企業の活用に、政策資源を重点投入する決意も表明した。しかし需要拡大や資源確保のために世界の中で日本再生を図らねばならないことは明らかである。そもそも、世界経済がクラッシュすれば日本再生に困難が生じることは明らかである。このため野田首相は通商国家たる日本にとり「経済外交」は経済再生のもう一つの原動力になると述べた。

 「経済外交」でアジアが中心に考えられるのは当然であるが、既述した中南米の例にも鑑み経済外交は全方面に展開すべきであろう。その際、日系人及び関係団体の育成強化にもいっそう努力すべきだろう。外交青書によれば、外務省は、約170万人の移住者及び日系人が居住している中南米諸国では、JICAと共に、移住者の高齢化に対応する福祉支援、日系人を対象とした日本国内への研修員受入れ、現地日系人社会へのボランティア派遣などを通じた協力を行っている。また、北米においては、米国及びカナダから日系人リーダーを日本に招へいするプログラムの実施や、日系人リーダーとの間で定期的に会合を開催することを通じて、北米に居住する日系人との関係強化を図っている。しかし日系人労働者が、国内労働市場のバッファー的に扱われている現状は是正すべきである。また、たとえば過去の関連団体への(外務省)補助金打ち切りは多少の節約になったかもしれないが失ったものも大きかった。(おわり)
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