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2012-11-02 09:41

(連載)日本再生は世界とのつながり強化の中で(1)

角田 勝彦  団体役員
 現在東京で第53回海外日系人大会が開催されている。「共に歩もう日本再生の道」というそのテーマにも鑑み、野田総理が所信表明演説で強調した経済再生の原動力の一つとしての「経済外交」の必要性を強調したい。それもアジアに絞る必要はない。6月18/19日付拙稿「アジア太平洋との連携強化を目指す中南米」で説いた通り、政府は中南米との関係強化のため今後とも全方面に目を配るべきである。たとえばTPP(環太平洋連携協定)にはすでにチリ、ペルーも参加しているのである。またその際日系人及び関連組織の育成強化に留意すべきである。過去の関連団体への補助金打ち切りは多少の節約になったかもしれないが失ったものも大きかった。

 10月30日から11月1日まで東京で開かれた第53回海外日系人大会には24カ国から148人が参加し東日本大震災の復興支援活動などについて討議している。日本人の海外移住の歴史は143年を数え、北米・中南米を中心として、全世界に約285万人(推定)以上ともいわれる海外移住者及び日系人が居住している。海外日系人大会は,海外の日系人団体の代表が日本に集まり,日系人相互の友好と連帯の強化,日系人の居住国と我が国との相互理解,親善関係の増進を図ることを目的として毎年開催されているものである。

 中南米は、6月の拙稿でも説明したが、2011年GDP5兆6135億ドル(キューバを除く。世界全体の8%)で、成長率も高く、資源やFTA網を目当てに世界からの投資は急増している(世界の外国直接投資に中南米が占める割合は2007年の5%から2011年の10%へ倍増)。本年6月8日発足したメキシコ、コロンビア、チリ、ペルー4カ国の経済共同体「太平洋同盟(AP)」(ウルグアイも最近オブザーバーとして参加)が示すように日本を含むアジアへの関心は高い。なお伝統的に親日である(たとえば来日したパナマ大統領は、10月22日、尖閣問題についての日本支持を表明した)。このような地域との関係強化に努めることは、最近の中国との関係に鑑みても有意義であろう。その際、日系人及び関連組織の育成強化にいっそう努力すべきこと明らかであろう。

 ところで10月29日、第181臨時国会の召集日、野田首相は衆院のみで所信表明演説を行った(首相問責決議が通常国会で可決されている参院では野党側の拒否により憲政史上初めて行うことができなかった)。激しい解散攻防のあおりで重要法案は成立の見通しが立たず、事態は与野党間のチキンレースになっているが、野田首相が本演説で消費増税法成立に続く「最大の課題」に日本経済再生を挙げていること自体は正しい。(つづく)
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