国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2012-10-14 01:21

中国から見た日本企業衰退の原因

北原 二郎  会社員
 今私の手元に『IT時代週刊』という一冊の中国の雑誌がある。「日企衰落」(日本企業衰退)との特集が組まれており、その中に日本企業衰退の5大原因として次の諸点を挙げいる。(1)生産増加に傾注するあまり、技術革新を怠った。(2)デル、マイクロソフト等への関心が薄く、ソニー、東芝、日立、松下に匹敵する企業はないと認識していた。(3)デジタル化への対応が遅れていた。(4)ソフトを軽視し、ハードとソフトの有機的結合を理解できなかった。(5)島国的思考を抜け切れず、国内市場に傾注するあまり、アップルのような企業が全世界的規模で展開する状況に対応できなかった。

 確かに2011年における最終損失を見ると、ソニーが56億米ドル、シャープ47億米ドル、松下(パナソニック)がなんと98億米ドルという目を覆わんばかりの惨憺たる有様である。小生は、現在中国で多くの日系企業の顧客を持つローカルな企業で業務に携わっているが、日々目にするのは、日系企業駐在員がしばしば現地の実情を無視した本社からの理不尽な要求にさらされ、それに対応するため時間を浪費し、必要な決済書類が増えて、苦悩し、慨嘆する姿である。

 こうしたことは、一見すると先に述べた日系企業衰退の原因とは直接関係ないように思えるかも知れない。しかし、民間企業が官僚主義に陥っているのなら、一人ひとりの能力が開花できているとは、私にはどうしても思えないのである。「逃避責任的行為在日本企業中十分普遍」は、漢字で十分に意味が伝わると思うが、これは先の雑誌の「官僚主義と無責任さが日本企業に蔓延している」との分析である。

 日本企業は2011年の震災や、現在の困難な経済状況の中で、今後の方向性を模索していることと思う。私は国際環境の変化であるとか、為替といった要因に企業の盛衰の原因を求めようとは思わないし、そうした分析は、私には身に余るテーマである。「領導人応該具有献身精神(指導的立場にあるものは献身的精神を持つべきである)」との稲盛和夫の言葉を紹介をしつつ、先の雑誌は「復活させるべき日本の伝統」を紹介している。意外と身近なところにも、企業が活力を取り戻すヒントはあるのではないだろうか。中国誌の分析と現場で苦悩する同胞の姿を伝えることで、各日本企業が自らを見つめなおし、官僚主義を排し、各人が能力を発揮できる会社を志向して頂ければ幸いである。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム