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2012-10-10 06:51

自民はふんぞり返って“秋休み”のときか

杉浦 正章  政治評論家
 民主党幹事長・輿石東の狡猾さもさることながら、自民党の“肥満2人組”は一体何様になったのか。総裁・安倍晋三も、幹事長・石破茂も、「民主党が挨拶に来ないから、物事は始まらない」と、9月26日の総裁選以来ふんぞり返っている。これでは政権の座に就いたら、手に負えない高姿勢内閣になるのではないか。1年で1番仕事がはかどる季節に入り、国内外に難問が山積しているというのに、政治はまるで「秋休み」の状態だ。そこには国家、国民の視点はなく、党利党略の駆け引きだけが存在する。一日でも政権の延命を図りたいと輿石がはかない抵抗をしているのは毎度のことで、もう怒る気もなくなった。結局輿石の悪あがきは無駄になることが目に見えているのだ。加えて、貧すれば鈍するだろう。幹事長代行・安住淳の政党交付金返上戦術は愚策中の愚策だ。年4回に分けて配られる政党交付金のうち、10月に受け取る分約41億円の申請を見送ると発表したのだ。赤字国債発行法案の成立のメドが立たないため、野党をけん制するパフォーマンスだ。共産党並みに一切返上するならむしろ潔いが、遅れて受け取るだけであり、馬脚は最初から現れている。小細工そのものだ。

 こうした民主党の体たらくより、もっとひどいのは自民党執行部だ。総裁選で選出されて以来半月も、なすこともなく日を送っている。就任以来安倍が「民主党の幹事長から何も言ってこない。あまりにも無責任だ」と不満を述べれば、石破は「調整にあたるべき民主党の輿石東幹事長から、就任祝いの電話1本もない。与党による審議拒否のようなものだ」となじる。安倍と石破は口裏を合わせたと見えて、口を開けば「民主党から何も言ってこない」だ。そこから一歩も出ようとしないのだ。石破に到っては、テレビで「予算委筆頭理事の際は与党の理事が気を遣ってくれた。毎日のように私の部屋にきて、北海道の名産だよと土産をくれた。ここまで気を遣ってくれれば、嫌な気分はしない」と、まるで就任祝いを要求しているような口ぶりだ。

 この姿勢は「どこか出だしから間違っていませんか」と言いたい。民間会社では社長に就任すれば、まず最初に自分から挨拶回りするのが常だ。日本の風習でもある。それを「来ない。来ない」と公言して、貴重な日時を費やしている。あきらかに肥満2人組の狙いは、野田以下民主党政権が、「近いうち解散」の約束を反故にして、政権に不利な解散・総選挙を回避し、一日でも延命を図りたいという「政治的醜さ」を浮き彫りにすしようという作戦なのだ。“逃げの民主”を国民の前にさらけ出そうというわけだ。野田は野田で、逆手にとって10月11日に自民党に挨拶に行くが、党首会談ではなく、あくまで挨拶だ、という戦法に出た。党首会談だときりきり詰められるから、挨拶だけにしようというわけだ。まるで「肥満2人組」対「肥満・激痩せ2人組」によるタヌキの化かし合いの様相だ。この体たらくに支持率急落の橋下徹が初めていいことを言った。「物事を進めようと思えば、トップが直接会って話をしなきゃダメだ」と述べたのだ。大阪のポピュリストから言われるようでは、どうしようもない。

 要するに、党首会談をしたかったら、安倍も堂々と首相官邸の門を叩けばよいのだ。野党第1党の党首が正面から会談を要求して、政権側が断れるわけがない。ふんぞり返って挨拶に来ないなどという方がおかしいのだ。何かもう政権を取ったような気分になっているように受け取れるのだ。国民には隅々に到るまで、民主党のやり口や体たらくは“周知徹底”されている。それをこれでもか、これでもか、と同じ発言を半月以上も繰り返せば、世論の矛先は自民党に向かうと心得るべきだ。党首会談をしたければ、正式に申し入れるのが筋ではないか。また臨時国会開会を民主党がためらうならば、憲法に基づいて招集を要求すればよいのだ。タカ派のようで受け身の2人組は猛省すべきだ。そして論議を国会の場に持ち込むべきだ。国会議員が自らの土俵を無視してどうするのだ。震災復興予算を復興に関係のない事業に転用するという重大問題も起きている。もはや“職場放棄”しているときではない。 
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