国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2012-09-17 22:25

国民レベルでの国際交渉能力を強化せよ

金子 弘  日本学習社会学会会員
 韓国との間での竹島問題は、国際司法裁判所へ提訴したことで解決を国際世論に委ねることとなり、国際世論を味方にする必要がある。一方で、尖閣諸島の問題は、中国監視船の尖閣諸島領海への不法侵入によって、再び緊張が高まっており、中国各地では反日デモにより一部の日本企業などが略奪行為を受けている。これは国際社会では到底受け入れられない行為であり、日本人はそのだれもが、自国の主張を明確に示し、反論する等の国際交渉能力を問われているものと考える。

 竹島や尖閣諸島について日本政府は基本的な立場として、歴史的にも国際法上も明らかに我が国固有の領土であるとしている。しかし、この政府見解は「学習指導要領解説」には明確に書かれておらず、主張が明確でない部分があるといえる。一方、韓国では教科書で竹島について、早くから自国(韓国)の領土であり、日露戦争中に日本が一方的に日本の領土に編入してしまったとしている。また、中国では尖閣諸島について、地理の教科書で自国(中国)の領土と教えている。これに対し、我が国の主張は教科書上では明確に示されておらず、これでは国民レベルでの国際交渉能力を期待できない。

 そもそも、「中学校学習指導要領解説社会編」(平成20年7月)は、国際関係について理解することや国際協調の精神を養うことは重要であるとして、「我が国と諸外国の歴史や文化が相互に深くかかわっていることを考えさせるとともに、他民族の文化、生活などに関心をもたせ、国際協調の精神を養う」としている。また、「高等学校学習指導要領解説公民編」(平成21年12月)は、グローバル化が進展する国際社会における政治や経済の動向に触れながら、人権、国家主権、領土に関する国際法の意義等について理解させるとしており、「発達段階に応じて国際関係について指導する」ことになっている。

 したがって、国際平和の維持と安定のために平和的な解決に向けて広い視野に立って継続的に努力する態度が必要なことを認識するだけではなく、国際関係の情報資料を活用して、国民のだれもが自国の主張を明確に示すことができるようにするためには、大学学部において一般教養科目で大学学部としてふさわしいレベルの国際政治、国際法、国際経済等を体系的に学習させることで、広く国民の間に国際交渉能力を身に付けさせるようにすべきであると考える。そして、こうした教育を受けた者の中から、大学院でさらに専門家を養成するようにすべきであると考える。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム